スーツの小ネタ - 【良い仕立ての条件】生地をスポンジングして型崩れしにくい美しいスーツに

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【良い仕立ての条件】生地をスポンジングして型崩れしにくい美しいスーツに

【良い仕立ての条件】生地をスポンジングして型崩れしにくい美しいスーツに
スーツの小ネタ

本日はスーツの仕立て関する、マニアックなお話、【 スポンジング (縮絨) 】についてまとめていきます。

スポンジングは、普段スーツを着られている方やスーツの販売業者であってもあまり知られていない工程です。

スーツには意味のある工程が多数あり、諸々省いていくと作業量を減らして価格を下げていく事ができますが“良い仕立てのスーツ”からは離れていきます。

同じ生地を使ってもスーツの値段が変わっていく理由の一つです。大切な工程であるスポンジングについて是非最後までご覧ください。

 
 

良い仕立てに欠かせないスポンジング処理

スーツ生地をスポンジング(縮絨)

スポンジングは、『生地を最も良い状態にする (戻す) 』為に行います。

最も良い状態とはどういうことかというと、生地を織ってからすぐにスーツに仕立てるという場合もありますが、多くの生地は倉庫や店舗で保管をされ、生産計画が出来てから出荷されます。1反で約50mあるため、写真のように紙管にぐるぐると巻かれた状態で保管をされます。この写真は播州織工場なのでシャツ生地ですが、スーツ生地も同様です。

巻き付けた状態で、重ねて置かれるため様々な方向からテンションがかかったり、湿気の影響を受けます。これらは生地にストレスをかけ、伸びたり、縮んだり、斜めに歪んだりしていきます。50mを真っすぐ平らに重ねず保管する事は現実問題難しいので、ストレスがかかるのは仕方がありません。

 
 

生地をそのまま使うと・・・

“伸び、縮み、歪み”のある生地は蒸気や熱の力で元の状態に戻ろうとします。

もしそのままの状態で裁断をしてしまうと、スーツを仕立てる過程のアイロン処理の影響を受けて、“歪んだスーツ”や“寸法が合わないスーツ”になる原因になります。

また、仮に不具合のあるスーツに仕上がったとしても最終プレスで誤魔化せてしまうので、最初は綺麗に見えます。しかし“着用していく毎に型崩れをしていく”という恐ろしい結果にも繋がります。

 
 

スポンジングはどういう処理をするのか?

スーツ生地をスポンジング(縮絨)

スーツ生地をスポンジング(縮絨)

全ての生地が多くのストレスを受けた状態という訳ではありませんが、少なからずの影響を受けています。であれば、それらを仕立てやすい状態に戻そうとするのがスポンジング処理です。

スポンジングの機械は工場によって様々ですが、やる事は同じで、“生地に蒸気と熱をあて、寝かせる時間を作る”事です。

写真は蒸気と熱を与えている所で、この後寝かせて生地が落ち着かせます。濡れた髪の毛をドライヤーで乾かしてから、冷風で落ち着かせるのと同じ原理ですね。

 
 

スポンジングは、服を仕立てる前に行う大切な工程

スーツ生地をスポンジング(縮絨)

スーツ生地をスポンジング(縮絨)

スーツの見返しに毛芯を縫い付けるのも、接着芯による剝離を避ける意味合いがあるのと同様に、スポンジングをする事で型崩れしにくく長く愛用をする事ができるようになります。

パッと見て分かる本切羽、台場仕立てよりも、余程大切になってくる工程なので普通は行います。しかしスーツの仕上がりを見て分からない工程であり、そもそもスポンジングを知らない方の方が多いので、工程を省いてもまず気づかれません (笑) 。

それで良いのかどうかはお店判断による物ですが、せっかく良いスーツを仕立てるのであれば、疎かにする事なくちゃんとスポンジングをした方が良いです。

 

これからも仕立てに拘る上で大切な内容をご紹介していきますので、是非ご期待ください。

 
 

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