サイズが合っていないとジャケットの前合わせが開く件。※ただし例外の考え方も有り
オーダーの場合、お客様それぞれの体型に合わせてサイズの数値を設定していきます。そこにはその方に合った数値とデザインの数値というものが存在します。
例えばサスペンダーをされない方はベルトもしくは脇尾錠等を使い、骨盤の位置に引っ掛けるよう設定する必要があります。無理に股上を伸ばすと下にずり落ちてくるため、デザインではなく最も落ち着きの良い位置を見つける事が必要です。サスペンダーを使った場合は、肩から吊るためデザインによって股上を深くしたり、反対に浅くすることが出来ます。
ジャケットのボタンを外した際の、前合わせの開きも小さくしていくのがセオリーで、決まった数値があります。
サイズが合っていないジャケットは基本的にはこのようにボタンを外すと大きく横に流れていきます。これには様々な原因があり、解決をしていく事で着心地が良く、スタイル良く見えるようになります。
単にお腹周りのゆとりが足りていない場合もあれば、上の画像のものは怒り肩にしているのが原因で、肩で引っかかり前身頃が引っ張られています。これは肩傾斜を調整することで解決します。
こちらも若干開き気味です。屈身といい、猫背気味になっていることから起こる現象です。前身が後身に対して長すぎるため、ボタン位置付近で折れ曲がってしまい、前裾も開きやすくなります。
釦を留めると大きくXシワが入るのも屈身の特徴の一つです。
正しくフィットしたジャケットですと、ボタンを開けてもそこまで開く事はありません。お腹周りの寸法が大きすぎて前身が被ってしまうのも問題ですが、開きすぎると身頃と腕との間に空間がなくなり、スタイルが悪く見えます。一番最初の方がフィットしていないものなどはボックスシルエットのようにも見えてしまいます。
イタリアのナポリの方ではあえて前側が大きく開くようなフィット感を好む方もいらっしゃいますが、あくまでそれは例外。ボタンの返りもかなり下に持ってくる仕立て屋さんもありますね。
しかし、着心地面においても下がってきますので、EGRETではしっかりとフィットしたジャケットをお勧めしております。サイズ感を突き詰めて、周りからもスタイル良く見られる洋服をお探しの方は是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。
余談ですが、お昼ご飯の際にニットにおかずをこぼしてしまい、拭いた跡が残ってしまっております (笑) 。失礼しました。
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