スーツの小ネタ - 【業界の嘘】仮縫いを付けたらフルオーダー?いえいえ違いますよ、という話。

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【業界の嘘】仮縫いを付けたらフルオーダー?いえいえ違いますよ、という話。

【業界の嘘】仮縫いを付けたらフルオーダー?いえいえ違いますよ、という話。
スーツの小ネタ

オーダースーツと一言でいっても、その種類は大きく二つに分かれています。

それがフルオーダーとパターンオーダーです。

フルオーダー=最上級の物という一般的であるため、フルオーダーと謳っているのに実はパターンオーダー屋さんだったという話も残念ながらよく聞きます。

是非、ブログを最後まで見ていただき“業界の嘘”ともいえるフルオーダー、パターンオーダー、二つの違いを知っていただけますと幸いです。

 
 

フルオーダーとパターンオーダーとは?

仮縫いを付けたらフルオーダーではない

パターンオーダー

パターンオーダーは、先に仕上がりイメージサンプル (見本服) を用意しておき、お客様の体型に一番近いサンプルから修正をかけていくというやり方です。ジャケットであれば自分のバスト寸法に最もあう見本服を着て、そこをベースに肩幅を出したり、袖丈やウエストを詰めたり修正していきます。

実際の洋服を着るので、お客様からすると仕上がりのイメージがしやすく、『ここをもう少し細く』といった要望を伝えやすいです。

 

パターンオーダーはCADというコンピューター制御によって型紙を修正していくのでコストと時間が削減でき、フルオーダーよりも低価格でスーツを購入することができます。

一言でパターンオーダーといっても修正可能範囲が縫製工場により異なっていて、工場によっては肩幅1cmまでとかウエスト4cmまでとか制約が多くなります。これは修正範囲の数字が大きいと基本形からのバランスがおかしくなるため制約を設けていますが、こだわった工場の場合バランスを修正した上で仕上げてくれるので修正可能範囲が非常に広くなります。

修正可能範囲や、仕上がりの良さは縫製工賃とほぼ比例します。

なので、同じパターンオーダー屋さんであっても、同じ生地を使用して値段が大きく違うのは、縫製工場の違いによるところが大きいです。

 
 

フルオーダー

フルオーダーはお客様の身体を採寸して、一から型紙 (パターン) を起こしていくやり方です。基本スーツはジャケットの背中心から線を引いていきますが、これにも文化式や斜辺裁断法といった引き方の種類や、型紙を引く方の考えも異なるため、実際の仕上がりはフルオーダーのスーツ店次第という事になります。

基本的には、全て手縫いで仕上げることが前提ですが、イギリスのテーラー街サヴィルロウでは部分的にミシンを使用する場合もあるので一概に言えない部分でもあります。

 

フルオーダーの強みは、一から線を引くのでデザインが自由自在です。襟の形を絵にかいて特殊な形にしたり、ポケットをハート型にしたり、、、東京にある金洋服店の服部さんの場合、著書に書かれておりましたがポケットだけのベストを作られていました。凄いです。

スーツなので特殊な形にする事は少ないでしょうが、理論上、どんな形状にもできるのがフルオーダー です。

パターンオーダーの場合、ポケットの形にまで抜型があるので基本的に特殊な形状は嫌がられます (EGRETの場合はオプション料金を頂戴しますが、特殊なデザインも出来る範囲でお受けしているのでご相談ください) 。

 
 

フルオーダーとパターンオーダーの違い

仮縫いを付けたらフルオーダーではない

 

フルオーダー、パターンオーダーの違いを分かりやすく言うと、“出発点の違い” です。
 
一から線を引くか、出来たものから修正をかけるか。海外ではフルオーダーの事をビスポーク、パターンオーダーの事をメイドトゥメジャーと呼ぶ事からもその違いが分かります。

なので、当店EGRETを含めて見本服を着せているスーツ屋はパターンオーダーだと思っていただけると分かりやすいです。

 

とはいえ、“パターンオーダー=全部ダメ”っていうのは違うと思っています。パターンオーダー屋さんでも出来ることに幅があるという事と、

身体に完全に合った服が=格好良い服であるとは限らないからです。

(難しい話になるので詳しくはまたどこかのブログで書ければと思います)

 
 

なんちゃってフルオーダー

フルオーダーかパターンオーダーかの話に戻ります。

スーツ業界には“なんちゃってフルオーダー”という物が存在します。パターンオーダーなのにフルオーダーと謳ってしまう問題です。

 
 

スーツ屋さん自体の認識の問題もあるのですが、フルオーダーかパターンオーダーか二つの違いは出発点の違いであり、仮縫いを付けたらフルオーダーというのは完全に誤りです。

 

想像していただきたいのですが、型紙の知識に長けた職人が一からすべての線を引いて、仮縫いをして、中縫いをして仕上げていくものが、安価でできるものではありません (人件費が思いっきり安ければ別かもしれませんが) 。

 
 

当店、EGRETはメイドトゥメジャー (パターンオーダー) です。

よくイージーオーダーなんて言葉もありますが、あれは死語でパターンオーダーと一緒なので気にしないでください。

(※2022年5月4日追記)フルハンドメイドオーダーがスタートしました。詳細は一番下のリンクをご覧ください。

 
 

最後に宣伝します (笑) 。

EGRETは、フィッターが私一人の小さな店舗ですが、補正範囲が非常に広く、仮縫いを付けることができる2ヵ所のパターンオーダー工房と、フルハンドメイドの工房1か所に縫製をお願いしていて、仕上がり後や体型変化による手直しは私自身でおこなっています (実はパターン検定なる型紙の資格や、洋裁検定なる縫製の資格も持っていたりします) 。

1日何十人ものお客様にご対応する事はできませんが、お客様一人ひとりにあったスーツをご提供できるのは当店の強みでないかと思います。

姫路で仕立ての良いスーツをお探しの方は是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。

 

お客様の仕上がりのスーツはこちらのブログ一覧をご覧ください。

【お客様の写真】

 
 

EGRETのフルハンドメイドオーダーについて詳しくはコチラ

【フルハンドメイドオーダー】新しいレーベルでのオーダースーツが始まります。

仮縫いを付けたらフルオーダーではない

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