既製品の型紙設定の考え方を知れば、オーダーする時にさらにこだわりが出てくる話。
洋服が欲しい際にはRTW (Ready to wear) という既製服を買う場合と、オーダーをするという2種類の選択肢があります。
このオーダーの中にもMTM (Made to Measure) というパターンオーダー (イージーオーダー) と、Bespokeというフルオーダーの2つに分かれていきます。一般的にはマスターパターンがありそこから修正していくのがMTMで、マスターパターンがなく一から設計していくのがBespokeという位置づけです。
しかし、悲しいかな洋服業界はかなりアバウトな所があり、パターンオーダーの内容であってもフルオーダーや、マシンメイドのフルオーダー等と呼ばれている場合もあるので注意が必要です。注文を受けてから作成すればそれは全て“オーダー”である事に間違いはありませんので、実際にどこまでの事が出来るかあらかじめ確認しておくのがよろしいかと思います。
本日はその中でもRTWの型紙 (パターン) 設計の一般的な考え方についてまとめていきます。お読みいただく事で、オーダーをされる際のこだわりがさらに増してくるかと思います。
それぞれの型紙設計について
RTWは文字通り、着用する為に既に作られている洋服を指します。日本語にすると既製服となり、現在洋服の99%以上はこれに当たるかと思います。ラグジュアリーブランドのMTMやRTWの型紙を引いていた方が、『RTWは90%の人が着用できるように設計をする必要がある』と言われています。
当たり前の事なのですが、洋服はアートとは違い、袖を通して着用できないと意味がありません。その為、いくつかのポイントで甘いサイズ設計をとって作られます。アームホールが狭すぎると腕を通せない方が出てきますし、衿みつを狭くし過ぎると窮屈で不快に感じられる方もでてきますので、デザインが気に入っても着れない洋服を購入する方はいないです (コレクターは別ですが) 。
着丈や袖丈といったものは、サイズにしたら同じものですが、それ以外のポイントで設計が甘くなりますので、誰にでも着れる洋服というのは、本当の意味でサイズが合う事はありません。一部プレタポルテと呼ばれるものでデザイナーの価値観を反映させた攻めた設計の洋服はありますが (昔のDIOR HOMME等) 、それも攻め方が着用者にあうかどうかは着てみないと分からない部分です。
MTMも同様に、若干のサイズの甘さをとっているマスターもありますが、そこから修正をかけて着用者に合わせていけるのは強みの部分です。当店の場合であれば、アームホールや衿みつはお客様のご要望にもよりますが攻めた設計をとることが多いです。
RTWの良いところももちろんあり、オーダーに比べてスケールメリットが活かせ価格が抑えやすい事、デザイン性が高いものを設計できる事等、RTWが絶対にダメというわけではありませんので悪しからずです。
RTW、MTM、Bespoke、それぞれにメリットとデメリットがあり、どういった洋服が欲しいのか?により選択肢が変わってまいります。姫路のオーダースーツ店EGRETは、MTMとBespokeの展開でございますので、より拘ったサイズ設計をとった洋服をお考えの際には是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。
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