クラシックスタイルの本切羽 (本開き) 仕様がスタート致しました。
当店では多くのブログを書いていますが、人気のある記事に本切羽ネタがあります。
“【スーツの袖口】本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて”という若干釣り気味のタイトルですが内容は真面目に書いておりますので、良ければご覧ください。
本日はそんな本切羽のクラシックスタイルの仕様がスタート致しましたというご紹介でございます。
クラシックスタイルの本切羽
年々生地価格だけでなく工房の工賃も上がってきており、大変申し訳ないのですが当店でも若干の価格改定をしております。その分EGRETとしてもスキルアップ、バージョンアップを続けより良いサービスをご提供していきたいと考えております。本日の本切羽もその一つになればと思います。
それがこの写真のもので、今までの本切羽と何が違うのか?と言いますと・・・
本開きですので、このようにボタンを開ける事ができますが、一番手前側のボタンホールは糸かがりだけで穴をあけておりません。なので、袖に4つボタンを付けていれば開くのは手首側3つのみです。袖口をめくってみると他の違いがさらに分かります。
上が一般的なもので、下が今回新たにスタートしたクラシカルな本切羽です。
上は額縁仕様になっているのに対して、下では手前側に折り返し、縁をまつって留めています。
本来、袖を長くする修理は額縁仕様の本切羽では縫い代を余分に取れず難しいですが、折り返す仕様であれば縫い代を多くとる事ができ、袖口から長くする事が出来ます。
手前側のボタンホールが開いていないのは、糸かがりを取って何もない状態に出来るからです。そして新たに手首側にボタンホールを開けるろ、袖を長くした際のバランスがおかしくなりません。
この長くする直しは何もオーダーした方の為だけにあるわけではありません。
スーツは古くは大変貴重なものであり、作成した際には数十年着用するというのが一般的でした。さらには親から子に譲ったり、洋服を大切にする文化がありました。
自分の子供は自分よりもスタイルが良く手足が長い (大きくなってほしい) という想いもあり、袖のサイズ調整が出来る様にしたのがこの仕様の始まりです。
いかがでしたでしょうか。
これが出来るから、良いスーツという風にいう訳ではありませんが、ストーリーがある服やデザインが私は好きです。是非、拘りある洋服づくりのご参考にしていただけますと幸いです。
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