スーツの小ネタ - 【スーツの袖口】本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

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【スーツの袖口】本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

【スーツの袖口】本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて
スーツの小ネタ

オーダースーツのデザインで恐らく最も語られる事が多いのが今回のテーマ、“本切羽”について。

“本切羽=高級である”

そう語られる事が多いデザインですが、それは間違いであり本質的で無いことが多いです。

『え?どういう事なの?』、そう思われた方は是非最後までご覧ください。

 
 

本切羽の特徴と開き見せとの違い

スーツの袖は“本切羽 (ほんせっぱ) ”、“開き見せ (あきみせ) ”、“筒袖 (つつそで) ”の3種類に分かれています 。

これらのデザインには“飾りボタン”と呼ばれる機能性を (ほとんど) 持たない飾りのボタンが付いています。このボタンをどういう風な仕様で付けるかで上記3つの呼び方に変わってきます。

 
 

本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

こちらの写真が本切羽です。

“切羽”と呼ばれるボタンホールが付けられ、実際に穴を開けてボタンの開閉ができる仕様にしています。

 
 

本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

何故、ボタンが開閉できるようにしたのか所説ありますが、ナポレオンがロシア遠征時において、兵士が寒さで袖を使って鼻を拭わないようにボタンを付けたというのが有力です。ドクターズカフスなんて呼び方もあり、お医者さんが手術で袖をまくる為に付けたなんて話もあります。

現在ではスーツの袖をまくる仕草はほとんどないと思いますが、本切羽の一番外側のボタンを一つ外して、こなれた雰囲気を出す着こなしテクニックが存在します。

 
 

本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

こちらが開き見せ。

本切羽と違い、ボタンホールはあれど穴を開けず、中の仕様もボタンが開閉できないようにしています。

写真の開き見せの仕様ではボタンホール風に見せて糸をかがっているだけですが、実際のボタンホールと同じ形状にする事もできます。

ボタンの開閉はできませんが、袖口の端部分は布が重なるように縫製されていて一見すると本切羽のように見えます。

 
 

最後に筒袖。

最も簡易的な袖口の仕様で、しっかりと端まで袖が縫われていて文字通り筒状になっています。

切羽とボタンが付いているだけなので、開き見せが、“開くように見せよう”とする意図があるのに対して、こちらはそんな気がさらさらありません。

 
 

本切羽・開き見せ・筒袖はどれが高級?

一般的には本切羽が最も高級な仕様で、開き見せや筒袖は簡易的な仕様である、というのがオーダースーツ業界の認識だと思います。

しかし、これは分かりやすさを求めたスーツ業界の“木を見て森を見ず”な部分でもあります。

 

本切羽が何故高級なオーダースーツと語られる事が多いのか?

それは外から見ても分かりやすい“アイコン的な”デザインだからです。一つだけ外すというテクニックも、この分かりやすさの表れではないかと思います。

 
 

本切羽を作るのに手間と数センチ角余分に生地の用尺がかかる事に間違いはありませんが、“手間がかかる & 生地を少し余分に使う=高級である”というのは一概に言えません。

手間をかける事で、丈夫になったり、着やすくなるのであればそれは間違いなく高級なのでしょうが、本切羽に関してそうではありません。

 
 

イタリア・ナポリの職人は手縫いのボタンホールで本切羽に仕上げ、自身の技術力の高さを誇示すると言われています。対してスーツの本場、イギリス・サヴィルロウにおいては指定が無ければスーツの袖は開き見せで仕上がってきます。

当店でも本切羽は2,200円 (税込) のオプションにしているので開き見せにするよりは“高価”になる事に間違いはありませんが、高級と言えるかは人それぞれの好み・価値判断によるのではと思います。

 

ボタンホールの綺麗さ云々を置いておけば、どんなスーツ工場・職人でも本切羽を作る事ができます。

言い切るのであれば、本切羽ができない所なんて存在しません。

どこでも出来るんです。

どこでも出来る事をする事が高級であると言えるのでしょうか?

 

であれば、『本切羽のスーツは高級だ』なんていうよりも、クセ処理をしていないのであればその工程を一つでも多くとったり、マシーンでの袖付けではなくハンドで付けて着心地を上昇させたことの方が“高級”に近づくのではと私は考えています。

加えて本切羽よりも開き見せや筒袖の方が、耐久性が高かったりお直しがし易かったりするメリットがあります。

本切羽が高級というのは誤りで、本切羽の見た目が好きであればした方が良いですし、そうでないならどちらでも良い仕様であるというのが私の結論です。

 
 

本切羽 (ほんせっぱ) は実は高級でない?開き見せとの違いについて

そんな事を言いながら、、、私はボタンホールでかがってある見た目の方が好きなので本切羽にしている事がほとんどです (笑) 。

本切羽の特徴と高級と言われる事に対する違和感をブログでまとめました。

ご意見、ご感想等ございましたらお気軽にお問い合わせいただけると幸いです。

 

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