【オーダースーツ】生地とボタンの合わせ方・選び方について。
オーダースーツでは、まず表地を選び、その後にボタンを選ぶ工程があります。スーツの印象は表地による部分が大きいですが、ボタン選びもスーツ全体の雰囲気を左右する重要なポイントです。本日は、ボタンの合わせ方や選び方のパターンをいくつかご紹介いたします。
黒で合わせる
スーツのコーディネイトのセオリーとして、ボタンの色を靴や革小物の色と合わせる方法があります。フォーマルなシーンでの靴は黒色が基本となりますので、ブラウンやベージュといったスポーティ・カントリーな色味の表地でなければ、黒いボタンは間違いのない選択となります。
補色関係に近い色を合わせる
ネイビーの生地には、補色系統の色味であるブラウンのボタンは相性が良いです。イタリアでは“アズーロ エ マローネ”という言葉で、この組み合わせが親しまれています。ただし、先ほどご紹介したセオリーに従うと、明るいブラウンのボタンを選んだ場合、黒の靴とは合わせにくくなり、茶靴をコーディネートするのが基本となります。
表地の色で合わせる
表地と同じ色のボタンを選ぶことで、全体の調和を整えることができます。たとえば、ベージュやブラウンの表地には、同系統のブラウンのボタンが自然に馴染み、まとまりのある仕上がりになります。
ややカジュアルな印象にはなりますが、派生形として表地の柄に含まれる色を拾い、それに合わせてボタンを選ぶのも一つの方法です。砕けた印象がありつつ、全体に統一感を持たせることができます。
色を拾う際には、素材にもこだわると印象が大きく変わります。たとえば、スポーティなシェルボタンをスーツ地に合わせると、清涼感が生まれ、春夏らしい爽やかな印象を演出できます。一方、水牛ボタンを選べば格調高い雰囲気に、ナットボタンを選べば柔らかな印象に仕上がるため、どのようなスタイルのスーツを目指すかに応じて選ぶのがポイントです。
また、クラシックスタイルのお手本とされる英国のチャールズ国王は、全体の調和を重視されているためか、水牛ボタンではなく、ナットボタンやユリアボタン (尿素ボタン) でスーツと同色のものを選ばれることが多いようです。この選択は、落ち着きと洗練さを感じさせるコーディネートのお手本といえます。
出典: cdn.sanity.io
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私自身、ついついその格調高さに惹かれ、スーツには水牛ボタンを合わせることが多いのですが、現在作成中のグレーのスーツについては、同系色のナットボタンを合わせてみようと思います。これにより、柔らかさと調和の取れた印象を作っていこうと思います。
ぜひ、オーダースーツにおけるボタン選びのご参考にしていただければ幸いです。
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