【快適な夏に】少しでも涼しいスーツを仕立てるアイディア5つ+α
初めてスーツをオーダーされるお客様は“1年中使えるスーツを”とご依頼いただく事が多いです。
その際、通年使用しやすいスーツになるよう生地から仕様まで良い塩梅のご提案をさせていただいておりますが、当店のオーダーのフィット感を気に入っていただくと拘りとは深まっていくもので、スーツ=1年中着れるものというご認識から、季節に合った装いをと、より強い拘りを求められていきます。洋服屋冥利に尽き、有難い事です。
そこで本日の小ネタでは、夏に少しでも快適に過ごす為のアイディアをご紹介してまいります。見た目の涼しさという意味はもちろん、キチンと装いをした上でより快適に過ごしていただくご参考になりましたら幸いです。
①目付の小さい生地
目付とは一般的な生地幅である150cm×長さ100cmの生地の重さの事で、グラムで表記されます。
生地の場合、重さと厚さはほぼ同義なため、目付の小さなものほど薄くなっていきます。生地が薄くなれば当然涼しくなる為、夏スーツとして快適性を求められるのであれば250gを下回る230g程度がよろしいのではと思います。
薄手の生地の織りは、綾織りよりも平織りが、夏のご普段使用には優位に働きます。
平織りは、横糸を経糸に交互にくぐらせる最もシンプルな構造で、通気性にも優れ単純な織りが故に強度も高くなる為です。
②モヘア混の生地を使う
モヘアはアンゴラヤギの毛で、羊毛 (ウール) とブレンドさせる事で夏のスーツ生地として強みを発揮します。
繊維が羊毛よりも太く、組み合わせることで表面が凸凹として触るとザラっとした質感になります。肌との接地面が少なくなり、汗ばむ日であってもベタ付かず快適にご着用いただけます。
③薄い色を選ぶ
レオナルドディカプリオが主演した華麗なるギャツビーにおいて、ディカプリオが白のリネンスーツを着用していました。今より薄い生地を作る技術が無い時代において、少しでも涼しさを求める工夫の一つが色にありました。
黒は、光を全て吸収した結果生まれる色であり、熱が溜まりやすい性質を持ちます。対して、白は全ての光を反射している色であり、熱も吸収せずに最も快適に過ごせる色です。
白のスーツを着るのは中々に勇気がいるかと思いますので、ライトグレーや薄いブルーといった色の生地を選ぶ事により濃色のスーツよりも涼しくご着用いただけます。
④半裏仕様
スーツといえば総裏仕様といい、全て裏地で包み込んでしまうのが基本にはなりますが、湿気の強い日本の暑い夏においては、背中下部分の裏地を無くして空気の溜まりを少なくする事も選択肢の一つです。
⑤アンコン仕様
全ての裏地、副資材を取り除いたアンコン仕様のスーツの軽やかさは半裏仕様の比ではありません。当店のアンコンスーツは、カーディガンのような薄さですが、首から肩にかけての支点を作りますのでクラシカルなスーツの雰囲気を出す事ができます。
番外編~シャツをリネン混素材に~
いかがでしたでしょうか。
これら5つのお仕立てのアイディアを活かしていただき、夏スーツをお作りいただくご参考にしていただければ幸いです。
また番外編として、中に着るシャツをリネン素材で仕立てるとさらに快適な装いになるかと思います。こちらのブログも是非チェックしてみてください。
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