【革の工房見学】姫路黒桟革 (ひめじくろざんがわ) の坂本商店へ行ってきました。
先週のオーダーシューズフェアにお越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。
ご対応までお待ちいただく方もいらっしゃり、いつも以上の来店数でしたが、顧客様には特別なレザーであったり、ご新規のお客様にもとっておきの一足をご用命いただいたり、洋服における靴の重要度を再認識した2日間でした。
仕上がりまでの約1か月半楽しみにお待ちください。自分用にもコードバンでオーダーしているので、お客様の靴と一緒に仕上がりを待ちたいと思います。
オーダーシューズは普段より展開しておりますので、姫路市で格好良い色気のある革靴をお探しの方は是非一度お問い合わせください。
さて、本日のブログはイベント前日に靴職人と一緒に行った坂本商店さんへの工房見学レポです。
姫路黒桟革を生み出す坂本商店
姫路黒桟革 (ひめじくろざんがわ) は、姫路市花田町にある坂本商店が生み出した特別な革です。
鞣しから加工まで工房内で一貫しておこない、皮から革へと作り上げていきます。
この大きなタイコを回し、水洗いや鞣し、染色を行っていきます。
鞣しには、化学薬品を使用するクロム鞣しと、植物からとった渋を使う植物タンニン鞣しがあります。坂本商店の革は全て植物タンニン鞣しによるもので、自然本来の風合いが残ったふっくらとした仕上がりになります。クロム鞣しを行った革を別名青革といい、薄い水色の革が出来上がります。
坂本商店では、一般的な染料だけでなく、試行錯誤を繰り返した独自のレシピで自工房内で藍染めもおこなっています。
染色された革は、手揉みor型押しを使いシボを付け、姫路黒桟革の代名詞といえる漆 (うるし) で仕上げを行っていきます。漆は薄く塗っては乾かす工程を1か月かけて繰り返し行うため、鞣しから完成まで4カ月以上の時間をかけて作られていきます。
漆塗りの工程は企業秘密だそうで見る事ができませんでした。残念。
漆塗りはシボの凸凹した、凸面のみに塗られ、角度によってキラキラと輝きます。
白の革に白の漆を塗った革 (左が塗り終わり、右が塗る前) 。こちらはまだサンプル段階だそうで、試行錯誤をして様々な特徴ある革が作られています。
社長より革の魅力について語っていただきました。革の工房見学に行くと、革をさらに好きになっていきます。姫路にはこんなに素晴らしい革があると再認識しましたし、もっと多くの方に知っていただけるよう啓蒙活動していこうと思います。
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