『仕立て映えする生地?』オーダースーツを作る上で考慮したい“2つの強み”を考える
オーダースーツに詳しくなってくるとよく聞く言葉があります。それが・・・
『仕立て映え』
この生地は仕立て映えをする~といった使い方をします。
仕立て映えとは、“綺麗なシルエットの構築”を指していて、よく英国生地に対して使われる事が多いですが、英国生地=仕立て映えする訳ではありませんし、どんなシルエットを構築できれば仕立て映えする生地と言っていいか、明確な基準がある訳でもありません。
本日のブログでは、そんな仕立て映えする生地について深堀りしていきたいと思います。
仕立て映えする生地とはどういった生地なのか?
映える=美しいシルエットとして、仕立て映えする生地の特徴は2つで、この特徴を持っているからこそ美しいシルエットを作りやすいという事です。
・仕立てやすい
・ハリとコシがある
仕立てやすい生地は、仕立て映えする
当たり前な話ですが仕立てやすい生地は、仕立て映えする生地です。
生地を裁断し、縫製、途中アイロン処理をしてスーツは完成していきますが、スーツ生地と一言でいっても縫いやすさ、アイロンしやすさは物によって全然違います。
前見頃、脇身頃、後身頃に見返し、上衿、袖といった異なるパーツを縫製していく上で、滑りにより大きなズレが出てしまうと仕上がり寸法が変わってきたり、醜いシワや不具合が生まれます。一般的な洋服の中で最も難易度が高いスーツであるからこそ、縫いやすい生地に越したことはありません。
また、縫製同様にアイロンワークも大切です。良い仕立ての洋服にはイセ込み処理や、クセ処理といったアイロンを“効かせる”工程が多くあります。これが無いと平面的なペタッとしたスーツに仕上がるため、仕立て映えする生地の条件にはアイロンが効かせやすい事を外す事はできません。
逆に仕立てが難しい生地とは (仕立て映えしにくいといっていいと思います) 、高番手でトロみのある生地であったり、横伸びがほとんどしない生地です。こういった生地で綺麗なスーツを作るためには、高い仕立ての技術と、支点を作るフィッティング力が必須となっていきます。
ハリとコシがある生地は、仕立て映えする
上の仕立てが難しい生地の逆で、生地にハリとコシがあれば自立をしやすく、スーツに自然と丸みが生まれ綺麗なシルエットを構築しやすくなります。
糸が細くてトロみのある繊細な生地ほど、一つのミスで凹みが生まれるものです。わざわざ難しい生地に挑んで完璧な物を目指すのも良いですが、綺麗に仕上がりやすい簡単な生地で美しいスーツを目指すのも一つの考え方です。もちろん職人の腕が良い事に越したことはありませんが。
太い双糸や強撚糸を使った生地、モヘアの入った生地を選ぶ事でハリとコシを得ることができます。
最初の文章で“英国生地=仕立て映えするわけではない”と言ったのは英国生地であってもトロみがあったり、横伸びしにくい物であれば仕立てする生地とは言えないからです。
仕立て映え生地のまとめ
いかがでしたでしょうか。仕立て映えする生地の特徴は、仕立てやすい&ハリとコシがあると、いう事をご紹介いたしました。
オーダースーツ作りのご参考にしていただけましたら幸いです。
最後に、仕立て映えする生地を使ったスーツや、仕立てに関する記事をご紹介しますので、合わせてこちらもご覧ください。
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