【お客様のオーダースーツ】SMITH WOOLLENS (スミスウールンズ) ボタニー
SMITH WOOLLENS (スミスウールンズ) ボタニーウールのスーツ
さて、本日は日曜日にご来店いただいたお客様のオーダースーツのご紹介。英国最大の服地マーチャント、ハリソンズグループのスミスウールンズより、BOTANY(ボタニー) です。
スミスウールンズといえば先日書いたブログ、オリジナル・ソラーロが有名ですが、ビジネス使いできるスーティングも非常に定評があります。
このボタニーはウールの名産地、オーストラリアの港が由来となったメリノウール最高種と言われるボタニーウールを使用しています。
目付380~410gという非常にしっかりとした生地感です。トラディショナルな色柄がラインナップされている関係で、小さい面積の生地見本だけみるとつまらないと感じるかもしれません。しかしご安心ください。
ボタニーウールは着込むごとに増していく風合いが一番の特徴。身体に馴染んでいくという表現が正しいのかもしれませんが、古き良き英国らしさを体感できる生地です (英国バーバリーなどと同じ考えだと思います。親から子へ、子から孫へと長く愛そうという英国の想いが見えます) 。
素晴らしい仕立てと、素晴らしいディティール
神は細部に宿るというように、仕立て方法はもとより、ディティールにもたっぷりとこだわっていただいたスーツになりました。
スーツを縁取るピックステッチはフロント部分だけでなく、フルステッチ (ダーツ、袖、後身頃と隅々まで打たせていただきました) 。見返しと台場部分がつながった本台場仕立てで、ラペル裏にはフラワーループといって、フラワーホールに花を挿してもズレない仕様にしています。これはヨーロッパの貴族がプロポーズをして、OKであれば花束の中からの一輪をこのホールに挿すという名残からきたといわれています。
これら全てお客様がスーツを作られる際には必ず取り入れられているディティールです (すばらしいこだわり!) 。
こだわりが人を幸せにする。
私はそう思っています。
そこに明確な差があると感じるからこそ、人はこだわりを持ちます。今回は服ですが、そのこだわった服を着ている時、人はとても満足感が得ることができます。
いつもよりも背筋が伸びたり、さらなる自信を得られたりetc...。
たかが洋服、ではなくこだわりを身に着けることに意味があるのだと思います。
こだわりを身に付けるのは良いものです。
...話がそれました。
こだわりの続きですが、ラペルのフラワーホール (ボタンホール) はミシンではなく、手縫いで仕上げています。手縫いのボタンホールはミシンのそれよりもふっくらとした立体感があり表情が生まれるクラフトマンシップあふれるディティールになります。
柔らかな仕立てに合わせた、柔らかな袖付けとバルカポケット。ゆき綿 (中の副資材) も排したマニカカミーチャというシャツと同様の袖付け方法をとっていますので、より体の丸みに沿わせたシルエットになります。カッチリしたスーツが苦手という方にお勧めの仕様です。
こだわりのオーダースーツ。お客様にも気に入っていただけ、その場で夏用スーツもオーダーいただきました。これも先日ご紹介している春夏のロロピアーナ。次回作も素晴らしいものをお作り致しますので楽しみにお待ちください。
K様、この度はご利用くださりありがとうございます。微調整分、仕上がり次第ご連絡させていただきますね。今後ともよろしくお願いいたします。
お客様の写真の関連記事
- お客様の写真
【お客様の写真】ネイビーのピンストライプでお仕立てするビジネスマンのオーダースーツ
姫路のオーダースーツ店EGRETでご依頼いただくスーツは、セレモニーシーンで使われるものか、ビジネスで使われるもののどちらかであることが多いです (もちろんプライベート用のスーツをご依頼いただくお客様もいらっしゃいますが) 。セレモニーとビジネスで使うスーツの大きな違いは、フォー...
- お客様の写真
【お客様の仕上がり品】強撚糸のドライな質感が特徴のオーダースーツ
オーダースーツの醍醐味といえば“生地選び”と感じられている方も多いのではないでしょうか。 サイズ設計に関してはお客様の趣味趣向やお立場を考慮しながらお作りしていく前提はありますが、仕上がりの良し悪しは概ね採寸する側の力量によるところが大きくなります。オーダーだからと、誰が作っても...
- お客様の写真
【春夏の英国生地】WILLIAM HALSTEADの軽量ウールを使用した姫路市 M様のオーダースーツ
生地選びをする上で、参考になる数値として目付 (めつけ) があります。これは巾150cm×100cmの重さの単位で、重くなるほど生地は分厚くなる傾向があります。ジャケット等であまくあったものは目付以上に分厚い印象のものもありますが、スーツ用の生地であればほとんどこれに当てはまりま...
- お客様の写真
お客様のオッドベストと素材選びのポイントについて。『スポーティになる事を意識する』
オッドベストとは、スリーピーススーツのように共布で合わせたベストではなく、ジャケット&トラウザーズとは違う生地で合わせるベストのことです (またはそれ用に作る単品ベスト) 。薄着になるこの季節はもとより、通年を通してご依頼をいただいております。 トップ写真にあるこのグリーンとベー...
- お客様の写真
【ESCORIAL (エスコリアル) 】スペイン王室専用として誕生した希少ウールをハイクオリティオーダーで。
LUMB'S GOLDEN BALEを始め名作と呼ばれる生地の中に、知る人ぞ知るものがいくつかあります。ESCORIAL (エスコリアル) もまたその一つで、起源は11世紀まで遡り、通常のメリノ種よりも半分の大きさにしかならない羊がスペインに持ち込まれたことから始まります。16世...
- お客様の写真
【MATSUKI COLLECTION】ビジネス使いしやすいリネンブレンド生地のオーダースーツ
春夏らしい繊維で代表的なものはリネン。ウールにブレンドすることでシャリっとした清涼感のある生地を目指しやすくなります。同じく春夏によく登場するモヘアと違い、スポーティな印象になりやすいため、リネンには興味を持ちつつもビジネス用途のスーツには敬遠されている方も多いのではないでしょう...