【Kazamino | カザミノ】 2年待ちの私物オーダーバッグが手元に。

本日は、EGRETで取扱っていない私物オーダーのお話。
2023年10月にオーダーしていたバッグが、ようやく仕上がってきました。
2年と聞くと長く感じられるかもしれませんが、小規模でオーダーを受付している靴やバッグ業界ではよくあります。むしろ2026年1月仕上がり予定でしたので、少し得した気分の私です。
Kazamino | カザミノ
今回お願いしていたのは杉山さんという方がされているKAZAMINO (カザミノ) というブランドで、すべて手縫いで仕上げられています。
Kazaminoを知ったきっかけは、THE RAKEという雑誌でした。
誌面で見たバッグの佇まいがとても印象的で、派手さはないのに、妙に気になるというそんな感覚がずっと頭に残っていてSNSアカウントをすぐにフォロー。投稿されているバッグ作りの工程にも後押しされ、思い切って依頼しました。自宅兼工房に一緒に伺った友人は、見ているだけのはずでしたが、同じくバッグの佇まいに惹かれて一緒にオーダーしています (笑) 。
そしてあれよこれよと2年が経ち、完成のご連絡。せっかくなので再度東京まで伺い、実物を受け取りにいきました。

余談ですが、せっかく東京まできたので、国立西洋美術館の印象派展にも行ってきました。エドガードガという画家がお気に入りで、写真OKの家族の肖像 ベレッリ家をパシャリ。別の方向を向くそれぞれの目線、父親と子供の椅子の形状や座り方、顔の表情など、家族の微妙な距離感があらわされ、横幅250cmを超えるサイズにも圧倒されます。
子どもが小学中学年くらいになれば、パリのオルセー美術館に所蔵されている踊り子などの作品も見に行きたくなりました。
さて、美術館に行き、妻に頼まれた東京限定のお菓子も購入し、メインのバッグの受取りです。
私のコーディネイトのセオリーとして、なるべく革は同じ色合いを組み合わせるようにしています。黒い靴を履くなら、黒いバッグ、時計のベルトも基本的には黒。茶靴の場合はすべて茶色というようにです。
茶色のバッグは以前、神戸のBellagoで作ったので、次は黒ということで黒のシュリンクレザーを使った、ワンハンドルのブリーフケースをお願いしていました。



仕上がったバッグがこちら。端正な表情のなかに存在感があります。
シュリンクレザーはもちっとしていて柔らかく、くたっとした雰囲気のバッグになりすぎないよう、表革と裏革の間にレザーを一枚かませてくれたそうで、中に何もいれてなくてもしっかりとしたフォルムが形成されています。置いた際にしっかりと自立するのもいいですね。厚みのあるハンドルの中には堅牢なブライドルレザーが入れてもらい、ちょっとやそっとでへこたれなさそうです。

ライナーは、ハロウィンの時期にオーダーしたこともあり、オレンジを選んでいます。完全に自己満足ですが、こういう何かにかこつけて決めるのが、昔から好きです。人からはほとんど見えない部分なので、遊びがあっても良いかなを思っています。


ステッチはすべて手縫い。ひと針ひと針が細かいうえに揃っていて膨らみがあり、ミシン縫いにはない温かみと、美しさが同時に感じられます。当然コバも樹脂ではなく、すべて手磨きによるもので、長く使ってほしいという杉山さんのこだわりが、嫌というほど伝わってきます。
真鍮製のオリジナルの金具は使うごとにくすんでくるのも楽しみです。


私がKazaminoの杉山さんにお願いした理由は、ブランド名ではなく、その作りの良さからくるバッグの佇まいです。杉山さんの目立たない部分にも手を抜かない。その姿勢から、洋服や装いそのものが本当に好きな方なのだろうなと感じました。そうした感覚の近い方にお願いするほうが、安心してお任せできる。これは、スーツのオーダーでも同じだと思っています。
1ヶ月に1つほどしか作れないそうで、完成まで約2年かかりましたが、正直待つのは慣れていますし、この仕上がりを見れば納得です。あまりに気に入ってしまい、実はもう次のバッグもお願いしてきました。同じく友人も (笑) 。これで2年後の楽しみが、またひとつ増えました。
私がモノを選ぶとき、早さや分かりやすさよりも、納得できるかどうかを大切にしています。時間がかかっても、自分が本当に良いと思えるものを選び、長く使う。その積み重ねが、今の自分の装いをつくっている気がします。
EGRETのオーダースーツも、同じ考え方で向き合っています。
もし、装いについてじっくり考えてみたい、任せてみたいと思われた方がいらっしゃれば、ぜひ一度お問合せいただければ嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。
※Kazamino 杉山さんへのご依頼は、Instagramから直接メッセージをお送りください。
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