【映画ゴッドファーザー】マイケル・コルレオーネを意識したオーダースーツ。~ネップの入ったグレースーツ~

以前、映画ゴッドファーザー、三部作を一気見した勢いで作成したスーツが、ついに仕上がってまいりました。
その時のブログはこちら
出典: i.pinimg.com
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主演のアル・パチーノが演じるマイケル・コルレオーネ。ゴッドファーザー PART IIで冒頭の彼が着ている、白いネップが入ったグレーのスーツに心をつかまれ、イメージソースとして仕立ててみようと思ったのが始まりです。
劇中ではシルクのスーツと揶揄される場面もありますが、私は実用性を重んじてウールを選択しています。ツイードのような起毛感はなく、梳毛ならではのクリアな表情にネップが散るという、いまではなかなか出会えない珍しい質感です。
仕上がったスーツがこちら。マフィアにしては迫力不足かもしれませんが (笑) 、スーツ自体はなかなか気に入っています。
ぐっと落ち着いたイメージになりやすいネップ入りのスーツも、ライトグレーに白ネップという配色のおかげで、38歳の私にも自然に馴染んでいる気がします。
マイケル・コルレオーネをイメージソースにしていますが、すべてを真似するのではなく、洋服屋として自分のライフスタイルへ落とし込んでいます。
劇中ではベストなしの2ピースですが、私は格調の出る三つ揃いが好みです。スタイルよく見せるため、股上はおへそより上にくる深い設定にしてサスペンダーで吊り、短めの着丈のベストでバランスを取っています。
デザイン面での見どころは、プレステージオプションの“本襟掛け”。上衿を手で据えることで首への吸い付きが向上し、同時にゴージラインに自然なカーブを描かせています。
今回はチェック柄ということもあり、クセ取りを施した上衿は端で“横地”がきれいに通るように裁断しています。柄合わせの精度は、仕立ての完成度に直結する大切な要素です。
いかがでしたでしょうか。私とアル・パチーノは (身長以外は) 似ているところが少ないのですが、装い次第でイメージを近づけることはできます。
スーツづくりは、“なりたい像”を明確にするところから始めるのも楽しいもの。映画のワンシーンや憧れの人物をイメージソースにする、そんなアプローチもぜひお試しください。ご参考になれば幸いです。
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