新しい黒靴、考え中です。

日々スーツに袖を通していると、ふと「やっぱり足元が引き締まる黒靴を、もう一足くらい欲しいなぁ」と思う瞬間が訪れます。
靴棚にはすでに収まりきらないほどの靴があるというのに。それでも何度もその衝動がやってくるのです 笑。
(一部の靴好きはそういう生き物です。もはやムカデでございます 笑。私など、足元にも及ばない靴愛好家のお客様もいらっしゃいますので、まだまだ小さいムカデですが。)
さて、今回考えている久しぶりの「黒の紐靴」。
最近は三つ揃いのスーツばかり着ていることもあり、以前はそこにローファーを合わせることもあったのですが、今はどうにも紐靴でないと落ち着かない感覚になっています。ローファーのスタイルも、他の方がされていると素敵に映るのですが、いざ自分が取り入れると、ほんの少し違和感を覚えてしまうのです。
実は、構想はすでにできています。
ベースはスムースレザー、そこにワンアクセントとして、シューレース部分のみを同色異素材で切り替えるデザインです。
こちらは、似たコンセプトで作成したお気に入りの一足。
アノネイのスムースレザーをベースに、シューレース部分だけをリザードで切り替えています。同色ながら異素材という絶妙なニュアンスが、遠目にはシンプル、近づくと「おっ」と思わせる。そんな洒落心がさりげなく光る一足です。これが本当に気に入っており、似たような仕様を黒でも作りたくなってしまいました。
ただ、いま悩んでいるのは、その切り替え部分の素材。
リザードにするか、スウェードにするか、はたまた細かい型押しが魅力のドーフィンにするか。
たったこれだけで、印象が大きく変わるのだから悩ましいところです。
また、切り替えのパターンも悩みどころです。
写真のようなシューレース部分のみ切り替えるモデルにするか、あるいはヒールカップにまで切り替えを延ばすか。ヒールカップまで続く仕様中々見ませんが、昔Edward Greenで見かけて以来、心に残っています。あのときのスウェード切り替えは本当に格好良かったです。
どれも捨てがたく、優柔不断を全開にして楽しんでおります。
少し遊び心のある一足に仕上げたいとは思っていますが、奇抜になりすぎるとスーツスタイルに馴染まないため、ちょうど良い塩梅を目指しています。
ちなみに、当店のオーダーシューズは、日本人の足型を意識して設計された木型をベースに、さらに一人ひとりの足に合わせて微調整を加えるシステムを採用しています。
たとえば私は、やや幅広な足型なので、小指側に少しゆとりを持たせるカスタマイズを施しています。
少しの調整ですが、履き心地は大きく違います。よく雑誌などでみる「スニーカーのような履き心地!」とまではさすがに言いませんが(笑)、一般的な本格靴のなかではかなり快適な部類に入る、自慢のオーダーシューズでございます。
仕上がりまでにはおよそ3ヶ月。
秋冬のご提案が始まる8月には完成させたいので、そろそろ職人に依頼をかけなければなりません。
さて、どの素材で、どんな切り替えモデルにするか。
この悩む時間こそ、オーダーの醍醐味なのかもしれませんね。
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