鳥形の私物紹介 - 『40年後も愛せる一着を』クラシックなコートを仕立てる件。

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『40年後も愛せる一着を』クラシックなコートを仕立てる件。

『40年後も愛せる一着を』クラシックなコートを仕立てる件。
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「40年以上愛用しているコート」

とあるファッションメディアに掲載されていた、イギリス国王チャールズ3世の装いに強く心を打たれました。

流行を越え、自分の人生に寄り添い続ける一着。そんなコートを、私自身も仕立ててみたい。そう思い立ち、自分用のコートづくりがスタートすることとなりました。

 
 

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」出典: people.com

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」出典: i.pinimg.com

1980年代のチャールズ3世と、今年1月に撮影された同じコートをまとった姿。

他にも多数このコートを着用している写真が残されており、日常的に愛用されている一着であることがわかります。それを40年以上着続けているという事実には、ただただ驚かされます。

 
 

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」出典: i.pinimg.com

目指すのは、クラシカルなポロコート。

ポロコートは、伝統的な競技「ポロ」にルーツを持つコートです。19世紀、試合の合間に体を冷やさないために羽織られたことが始まりとされ、しっかりとした生地とゆとりあるシルエット、ターンバックカフ、背面のインバーテッドプリーツなど、動きやすさと防寒性を兼ね備えたディテールが特徴です。

もともとはスポーティなコートであり、着丈も膝上程度が一般的だった中、チャールズ3世のコートは膝下10cmほどあるでしょう。クラシックファッションの父とも言われるウィンザー公 (エドワード8世) も、膝下丈のポロコートを愛用していました。

チャールズ3世のコートは、英国の名門テーラーAnderson & Sheppardによるもの。本来のスポーティさにタウンユース向けのエレガンスを加えるため、着丈を長くアレンジしたのではないか、そんな想像も膨らみます(あくまで私の推測ですが笑)。

今回私が仕立てるコートも、クラシカルな要素を大切にしながら、自分の体格とパーソナリティに合わせた一着に仕上げていこうと考えています。

 
 

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」

そして、長く愛用する一着だからこそ、生地選びにも慎重に時間をかけました。

HARRIS TWEEDやDORMEUILのOVER COATINGなども検討しましたが、最終的に選んだのはHARRISONSの「SpringRam Coating (スプリングラム コーティング)」。

長く着るうえでは、耐久性も非常に大切な要素です。SpringRam Coatingでは、英国で最も歴史のある品種のひとつ、チェビオット種の羊毛を用いています。寒冷な気候と厳しい自然環境に適応したチェビオット種は、しっかりとしたハリと耐久性を持ち、仕立て映えするウールです。

さらに、経糸の本数が多く丈夫なキャバルリーツイル (騎兵隊のトラウザーズにも使われた織り方) で織り上げられ、
重さも625~655gと、一般的なコート地 (450~500g) よりしっかりとした質感。年月を重ねても着るたびに新たな魅力を感じられる、まさに「育つ」コート生地です。

 
 

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」

「40年後も愛せる一着を──クラシックなコートを仕立てます」

選んだ生地はベージュですが、緯糸にはカーキを用いて、深みのある絶妙な色合いに仕上がっています。ツイード生地などでも“自然の風景から着想を得る”という考え方がありますが、この生地にもそれに通じるものを感じます。

まずは英国HARRISONSから生地を取り寄せ、仮縫いへ。今の感覚だけでいえば仮縫いなしでも進められるかもしれませんが、「40年後」を見据える今回のコンセプト。チャールズ3世、ウィンザー公のサイズ感は今の私が着用すると大きすぎるように感じます。

78歳になった自分を、38歳の私が想像できるのかどうか、自問しながら仮縫いしていこうと思います。

 
 

もっとも、現在の季節は春。これからどんどん暑くなっていきます。

普通なら「コートなんて考える時期じゃないでしょう」と突っ込まれそうですが、クラシックなコートに季節は関係ありません。
思い立ったが吉日...などと言い訳しながら、仕上がった姿を楽しく妄想しています。笑

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