【サスペンダーのすゝめ】肩が凝りにくくなる吊り方と、ボタンの取付けについて。ベルト派の方にも是非。
GWも残り3日となり兵庫県姫路市でも、駅からお城方面の北側の中心街は人がにぎわっていますが、EGRETのある駅から南側は喧騒とは無縁。お待たせることなく、ゆっくりお客様とお話しでき、人混みが苦手な店主の性に合っています。
最近の25度を超す日々の中でも当店ではスーツのご依頼が中心です。ビジネスにおいてもカジュアル化が進みスーツの着用頻度が下がっている中で、消耗品としてスーツを捉えるのではなく、ここぞのシーンの特別な洋服としてお考えの方が増えているように感じます。
特別なシーンで着用されますので、ベストを含めた三つ揃いでご依頼いただくケースが多くあります。スーツの語源は“一つ揃いの~”であり、ベストは本来着るものであり、格式高くスーツを着用されるのであれば自然なご選択ではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが (笑) 、ベストを着用される際にはベルトでスラックスを締めるのではなく、サスペンダーで吊る事をお勧めする場合があります。
ご要望次第ではありますが、基本的に当店では股上は深い方が良いですよとお伝えしています。足が長く見え、三つ揃いにした際にプロポーションも良く見えるからです。
詳しくは別の記事でまとめていますので、是非ご覧ください。
こだわりの洋服であるからこそ、着こなしも大切になってくる話。~パンツの股上問題~
サスペンダーをお勧めするケースは、股上を深くした際に位置によっては落ち着きが悪くなり、トラウザーズが下にずってくる場合です。恰幅の良い方がベルトを使った場合に落ち着く位置は基本的にお腹の下となり、かなり股上を短くしないといけませんので、スタイルが悪く見える原因となります。
サスペンダーで吊ってしまえば、ウエスト位置は固定されますので、高い位置で股上を設定することが出来るようになります。
サスペンダーの肩が凝る問題
サスペンダーで懸念事項にされる肩こり問題。
ウエストでなく、肩に支点を持ってくるため肩が凝りやすいと感じられる方も多くいらっしゃいます。それを少なからず改善させるのが、前後の帯の長さのバランスです。誂えたサスペンダーでなければ、上の画像の金具によって長さを調整することが出来ます。
上の画像が前を長く、下の画像が後ろを長くとったもの。断然下の方が肩が凝りにくくなります。理由は単純で、肩先に行くにしたがって重さを感じやすくなるからです。ジャケットも首から離れ、抜け衿になっているものは重く感じやすく、首にそって綺麗に収まれば軽く感じます。それと同じでなるべく身体の中心でサスペンダーを吊るのがポイントです。
クリップでサスペンダーを使われる方もいらっしゃいますが生地にダメージがいきやすいため、お勧めはトラウザーズの内側にボタンを付けて留めるやり方です。
背中心左右4.5~5cm程度の位置に一つずつ、前側はクリース線位置と、その8cm外側を目安に付けると収まりが良くなります。
私もベストを着用する際にはサスペンダーで吊っていまして、ベルト派の方もベルト位置のストレスが無く綺麗に着こなして頂けますので、サスペンダーお勧めでございます。ご不明点や気になることなどでてまいりましたら、お問い合わせいただけますと幸いです。
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