【体型補正の考え方】結論 : シワの原因のほとんどは●●が足りてないか、●●が多すぎるかです。

スーツをオーダーするうえでサイズ面における一番のメリットは体型補正です。体型補正を入れて着用した際にキレイなシルエットの格好良い洋服となり、着心地が上昇し服を着ていても軽く感じて頂けるようになります。洋服自体の重さはあるのに、着ると軽く感じるのは“良い洋服”の要素の一つです。
仮にオーダーをしても体型補正を入れていない場合は、縦横の寸法しか合わず洋服が不必要に身体に当たり、不要なシワが生まれやすいです。身体に当たるので重心が散らばり洋服は重く感じ、肩こりや疲れに繋がっていきます。ジーンズやスポーツウェア、Tシャツのような運動量確保のためにシワが入る事を前提とした洋服でなければ、体型補正によってシワを消す作業は必ず行う必要があります。
本日は体型補正そもそもの考え方を解説していきます。ご興味のある方は最後までご覧いただけますと幸いです。
体型補正の考え方
まず、結論から。
シワが出る原因のほとんどは、どこかの寸法が足りていないか、多すぎるか、またそのどちらもかです。
例を挙げて解説をしていきます。
首付け根に横方向に入るツキジワ。自分からは見えませんが、他人からはよく見られる分であり、あって良い事はないので体型補正によって取っていく必要があります。
ツキジワの原因は、Aの寸法が多すぎる、Bの寸法が足りていない、またそのどちらもの3択です。
どちらも過不足なく収まっている場合は、このようにシワが出ず綺麗な後ろ姿となります (ボディに着せたので若干怪しいですね) 。
ツキジワに対するアプローチ方法は様々で、何故足りていないのか、何故不足しているのかを考えて補正を入れる必要があります。
ツキトリと呼ばれる後身頃側のNP (ネックポイント) を下げて首までの寸法を短くする方法や、SP (ショルダーポイント) を上げてBNP (バックネックポイント) から肩先までの寸法を広くする方法があります。他にもBNP (バックネックポイント) を下げてSNP (サイドネックポイント) とSPを内側に入れる方法等ケースバイケースです。
間違えてはいけないのが、怒り肩のお客様だから怒り肩補正を入れるのではなくて、“肩先までの距離を広げる補正が必要だから”怒り肩補正を入れるのです。なので撫で肩の方であっても (肩先までの距離を広げる) 必要があれば怒り肩補正を入れる場合もあります。
今回の例でいいますと、ボディにあんこを付けてツキジワを出していました。怒り肩補正とツキトリを行なう必要がでてきますが、どれだけの量を入れるかは難しいところであり、フィッターやカッターの腕の見せ所です。
難しい体型の方であっても一発でシワを消せる場合もあれば、MTMで1着目は怪しい状態、2着目で完璧になる場合もあります。これは他部分の補正との兼ね合いが大きく、どこかをいじるとどこかに新たな不具合がでる場合がある為です。特に攻めたサイジングを行なった際には尚更です。実際に仕上がらないと分からない場合もあり、難しい体型の方には仮縫いをどうするかお聞きする場合があります。
いかがでしたでしょうか。採寸とフィッティングは非常に難しいです。1着目から100%完璧なスーツが作れるなどという事を、技術のあるフィッターやカッターから聞いた事がありません。もちろん最初から最高のものを目指して採寸、フィッティングをしておりますが、オーダースーツとはお客様との対話の元、1着目よりも2着目、3着目と徐々に完成度が高まっていくものだからです。
綺麗な洋服を作るためには、生地だけでなく採寸とフィッテイングの知識と経験がものを言います。
兵庫県姫路市で拘りの洋服をお探しの方は是非一度お問合せいただけますと幸いです。
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