スーツの小ネタ - 【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

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【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。
スーツの小ネタ

本日はスーツの小ネタです。

スーツを既製品で購入するか、オーダーで購入するかではサイズ面での自由度の差は大きいです。既製品でも袖丈やパンツ丈、必要に応じて中胴、ウエスト周りを数センチ修正する事が可能でそれでしっくりくれば良い話ですが、完成されたものから長さを変えるわけですのでバランス調整が難しくなったり、調整するにも限界の数値があります。

オーダーされる場合は数値に合わせたバランスで作成でき、体型補正を加える事ができます (既製品であっても体型補正を入れようと思えば出来ますが、数値の幅は小さく、バランス調整もより難しいです) 。

体型補正は、分かりやすいところで撫で肩や怒り肩、ツキトリ、カマの上げ下げ、出尻や平尻等々多岐にわたり、単純な長さではなくお客様の体型に洋服を沿わせるために行います。その中でEGRETが最も大切で価値のある体型補正と考えているのが、本日深掘りする反身 (はんしん) ・屈身 (くっしん) 補正です。

 
 

反身・屈身補正を深掘り

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

そもそも反身・屈身とは、身体が後ろに反っているか、前に屈しているかという事で、簡単なイラストですが上のようなイメージです。

 
 

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

これに正体で設計した服を着せた場合、それぞれ様々な現象が起こります。正体は真っすぐ下に落ちますが、屈身と反身の場合では身体にあたっていてこれが洋服ですと主に下記の箇所に不具合が起こっていきます。

 
 

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

屈伸体に正体のジャケットを着せた場合の不具合

【前身頃】裾が外に広がり、それにともって留めボタン位置にXシワが寄る。
【後身頃】裾 (ベント部分) がハネる。衿が首から離れる。背巾が不足する。

 

反身に正体のジャケットを着せた場合の不具合

【前身頃】前裾が重なり、裾が前上がりになる。
【後身頃】背中の中央辺りに真横にシワが入る。ベンツが開く。

 
 

実際の写真で屈身と反身を確認

何も補正を入れていないサンプルを着用しているもので正体・屈身・反身をご確認ください。

 
 

正体 前身頃

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

正体になるよう身体を調整してサンプルを着用しておりますので、袖丈が長い以外特に大きな不具合は起こっていません。

 
 

屈身 前身頃

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

屈身の場合は前身頃に大きな不具合が出てきます (分かりやすくするため大げさに身体を屈身にしています) 。お腹周りの寸法が著しく少ない訳ではないにも関わらず、大きくXシワが入っています。

 
 

反身 前身頃

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

反身の前身頃は、裾が上に上がっている事が一番わかりやすい不具合です。洋服は基本的に前下がりになっているもので、前上がりの服は不格好に見えます。

 
 

正体 後身頃

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

サンプルなので、撫で肩と袖付けでの不具合が気になるのと、正体を意識したのですが若干反身気味になってしまいました (すみません) 。

 
 

屈身 後身頃

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

屈身の後身頃は、ご年齢を重ねられた方のスーツでたまに見かけますが、ベントが大きく後ろにハネてしまっています。背巾も足りなくひきつった皺がでるのが特徴です。

 
 

反身 後身頃

【反身・屈身補正】オーダースーツを作るうえで最も価値のある体型補正を深掘りします。

反身の後身頃には背中に出た横ジワと、ベントの開きが表れています。センターベントの方だとなおさら不格好になるため、注意が必要です。

 
 

反身・屈身の解決策

反身と屈身それぞれ前後の身頃のバランスを整える事で解決していきます。

シワの原因は長いか、短いかのどちらかで起こります。

反身に大きく表れる背中のシワは、後身頃が前身頃に対して長すぎるため、背中で折れてしまい横シワがでて、跳ね返りでベンツが開きます。つまり後ろに対して前を長くしてしてバランスを取ればシワが消えていきます。これが反身補正です。

屈身による不具合はこの逆をおこないます。前身頃のXシワは前が後ろに対して長すぎるので折れるわけですから、後ろを前よりも長いバランスにすればシワが消えるという理屈です。

 
 

メイドトゥメジャーやパターンオーダーというのはサンプルを着ていただいた時に、フルオーダーの場合は仮縫い時に、どれくらいの補正が必要なのかピンを打って確認していきます。

 
 

最後に

反身・屈身補正を行う上で難しいのは、お客様の普段の姿勢がどういったものなのかという事です。鏡を前にした場合や、緊張感を持った場合、人は自然と背が伸び反身気味になります。EGRETで採寸時にリラックスしてください、力を抜いてくださいと絶えずお声掛けしているのはこの為で、なるべくご普段に近い姿勢なっていただく事がオーダーを成功させる為には必要になってくるからです。

 
 

いかがでしたでしょうか。この反身・屈身補正を行うだけでも、オーダーした価値は十二分に感じていただけるかと思います。なぜならば、出来上がっているものからこの修正を行う事は非常に難しい事であり、スーツ作りの根幹の部分であるからです。

また、今回ご紹介した不具合個所は別の理由で起こっている場合もあり、反身・屈身でなくてもこの補正を入れる場合もあります。不具合を見極めてどこを修正していくか判断するのが、私達スーツ屋の腕の見せ所であり、EGRETの強みの部分でございます。是非拘った洋服をお探しの方は是非一度お問合せいただけますと幸いです。

 
 

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