【2023-24年秋冬】M社新作服地の仕入れ
(※6/13画像追記)
日中日差しが強く汗ばむ夏のような暑さになったと思えば、上着が欠かせない肌寒い日になったり、不安定な気候で着用する洋服に困る時期でございます。とはいえこれから気温も上がり夏はもうすぐなこの時期、当店では秋冬生地の仕入れが始まります。
本日はお世話になっているM社の方に来店してもらい、新作服地の案内を受けました。
着用されているハリソンズ、リージェンシーシリーズのスーツがとても素敵でした。お顔出しは会社的にNGだそう。
しっかりとメモしておりますが、写真はまだ公開してはダメと念を押されましたので、さらっとご紹介してまいります (店頭ではこっそり詳細お伝えします笑) 。
まずはネガティブな話をぱっと終わらせます。
全体を通して例年に引き続き生地は値上がり傾向です。どの業界も原材料、輸送費、海外の人件費は上がっておりますので、仕方のない部分はあり、テキスタイル業界も若干上がってきております。M社に関しては、ハリソンズなどの英国生地の上げ幅よりも、カノニコ、ロロピアーナといったイタリア生地の上げ幅の方が大きい印象です。短期間で売り切りスタイルというのも影響しているのかもしれません。当店は質実な価格設定を心がけておりますので、この点ご容赦頂ければ幸いです。
ここからはデザイン、クオリティ面について。この話が楽しいですね (笑) 。
各ブランド、突き詰めている得意なゾーンを見て取れました。
カノニコは、秋冬らしいフランネルは色味や柄出しがクラシカルなものからモダンなものまで幅広く、人気の厚手生地カバートクロス (実質キャバルリーツイルのこと) も色が充実していたり、先染めには出せないぺたっとした色合い (良い意味で) の後染め生地でスポーティなセットアップがよろしいかもしれません。
ハリソンズは、春夏でも登場している160周年記念生地はサキソニーとフランネル、ピュアカシミヤで展開され、リージェンシーがリニューアルされ、新色新柄が追加されます。
フォックスブラザーズは、2019年に登場し廃盤となっていたウーステッドフランネルが復活します。紡毛ではなく、梳毛のフランネルはソフトな質感で長い期間で着用いただける素晴らしいコレクションです。日本限定ボックスも登場し当店で展開するかは未定ですが、ブラックウォッチのツイードに惹かれ自分用の一着2.3mを依頼しています。フォックスのツイードでブラックウォッチのジャケットなど、格好良くならない訳がありません。がちがちにするのでなく、ソフトなイメージで仕立てようかと思います。
その他、カシミヤシリーズでロロピアーナ、MTRが安定の良い仕上がりであり、カジュアルセットアップ用の生地も取扱い致します。
生地を見ていると、この生地をどうすれば格好良くなるのか、どういう人がどういうシーンでの着用をお勧めしたいのかを楽しく考えてしまう店主、鳥形でございました (笑) 。
兵庫県姫路市で拘りの洋服をお探しの方は是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。
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