【フォーマルウェアを作る回】SMITH WOOLLENS “DRESS & FORMAL WEAR”

よくスーツ業界で言われる話ですが、日本の礼服として扱われる黒い略礼服は世界的に見ると特殊です。本来フォーマルウェアは昼と夜という時間や場所によって着ていくものが分かれているもので、冠婚葬祭、時間、天候に関係なくこれさえ着ていれば大丈夫という特殊性が礼服にあります。
そもそも礼服は、日本が戦後まだ貧しかった時代に生まれました。生みの親であるカインドウェアの渡辺国雄氏は、食べるものも少なく困難な時代から発展していくために今は礼服でどんなシーンでも使いまわしをして、日本が発展した暁にはグローバルスタンダードなフォーマルウェアを揃える人が増えてくるだろうという目算だったようです。それは外れてしまい、現在の日本におけるフォーマルウェアのスタンダードとして礼服が定着をしていきました。
世界的に見ればおかしな洋服とはいえ、ここは日本であり、ここまで定着したものに目くじらを立てる必要もありません。礼服があって、私達のような洋服好きは他のフォーマルウェアを着たければ着るという楽しみがあると考えています。先日リネンの回でご紹介した華麗なるギャツビーでも、昼と夜で洋服を着替えています。
フォーマルウェアは、略礼服、準礼装、正礼装の順でフォーマル度は高くなり、どの洋服が当てはまるかは時代によって少しずつ変化をしています。現代ではそれぞれこういった位置づけです。
正礼装:(昼)モーニング (夜)燕尾服
準礼装:(昼)ディレクターズスーツ (夜)タキシード
略礼服:ブラックスーツ
今回店主が自分用にフォーマルウェアを作成しようと用意した生地がこちら。
上:SMITH WOOLLENS (スミスウールンズ) のDRESS & FORMAL WEAR (ドレス & フォーマルウェア) シリーズの目付400g 黒の細かなヘリンボーンで三つ揃いスーツ。
中:同シリーズの目付370g コールパンツ (縞ズボン) 。
下:LBDの真っ黒の裏地
ブラックスーツでいうとタキシードクロスが日本では一般的ですが、モーニングに使われるクラシカルな生地の細かなヘリンボーンを選びました。スーツの基本は三つ揃いであり、フォーマル度を高めるためにベスト付きで進行します。
このブラックスーツにコールパンツをコーディネートすれば、略礼服から昼の準礼装であるディレクターズスーツに格が上がります。そして夜はタキシードを着用すると準礼装までの洋服はコンプリートと相成ります。
ドレス & フォーマルウェアシリーズはフォーマルな洋服を作るなら間違いのないバンチとして英国サヴィルロウから信頼を集めています。生地見本帳の人気が高いらしく、通常よりも2回りほど小さなバンチです。スーパーキッドモヘアのサマーフォーマルや、バラシア、コールパンツ用の縞生地、祝い事で合わせるカラーのベスト生地と十二分すぎるラインナップです。一部ご紹介いたします。
これから工房に生地を送り、作成していきたいと思います。サイズ設計やこだわりなどは仕上がった際にブログで纏めてまいりますので、是非楽しみになさってください。私が一番楽しみなのは内緒でございます (笑) 。
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