【格好良く装うため】スラックスのクリース線が消えてもクリーニングに出さずメンテナンスをする。
当ブログをご覧頂いている方に共通するのは、スーツやジャケットといった洋服を格好良く着たいと思われている事ではないでしょうか。そのためには自分に合った洋服を選んでコーディネートするという事も大切ではありますが、メンテナンス部分を忘れてはいけません。
どんな格好良い洋服も型崩れしていたり、汚れていたり、しわくちゃだと格好良くありません。
本日のブログでは格好良くスーツを着るために、普段店主がしているメンテナンスの方法をご紹介します。皆様の楽しい洋服・ファッションライフのご参考になりましたら幸いです。
スーツのメンテナンス方法
スーツの主な素材であるウールにとってドライクリーニングはあまり良いものではありません。水ではなく特殊な溶剤を使うドライクリーニングを過度な頻度で行うと生地の風合いが損なわれていくため、半年に1回程度に抑えることをお勧めしています。
ですが、汚れているのを放置した状態の方が良くないため、取れない汚れはクリーニングに出して落としてください。
クリーニングに出す回数を減らすと長持ちするため、その為に何をするか?が大切になってきます。
一つ目はブラッシング。
スーツについたチリやホコリを掻き出して落とせることと、お尻や背中といった圧力のかかる部分のテカリ防止に効果があります。スーツのテカリはウールの繊維が潰れてしまう事が主な原因なのでそれを解すためにもブラッシングです。
この時に汚れが付いていないかも確認します。ブラシで落ちるものもあれば、繊維の深くに入ってしまいブラシでは取れないものもあります。
そんな時、私が愛用しているのはSHARP (シャープ) の超音波ウォッシャー。食べこぼしの汚れ等、早い段階のものは綺麗に落とすことができます。水と超音波で落とすので擦って洗った場合よりも生地にダメージがいかずお勧めです。アフィリエイトでも何でもないので、AMAZONで検索してみてください (笑) 。
ブラッシングと汚れを落とした後は着用後に残ったシワを取っていきます。
使うのはスチームアイロンもいいのですが、普通のアイロンのスチーム機能で十分です。シワの付いた部分にアイロンを浮かせスチームを当ててシワを取ります。中々取れない場合はシワの箇所に霧吹きを使って少しだけ湿らせてください。
この時、汚れが残っていると熱により汚れが定着してしまい取れにくくなるので注意が必要です。
シワが取れたら、スラックスにクリース線を入れていきます。触る程度にアイロンをかければ生地にテカリは出ないので、私はそのまま直に当てていますが、感覚を掴むまでは当て布の使用をお勧めします。
クリース線は元々のものが残っていれば同じ個所に入れていただき、消えてしまった場合には写真のように左右の縫い代を合わせて折れ曲がる位置に入れていきます。クリース線は前パンツ、後ろパンツのパーツの真ん中に入るよう設計されています。
内股側→脇側とアイロンを当てていきます。全体に軽く線を入れてから、圧力を強めてしっかりとアイロンをかけると上手くいきやすいです。
髪の毛もそうですが、洋服も冷えた時の形を維持しようとするので、アイロンを当てて熱を加えた後に手で押さえながら数秒間の間を置き冷やすと綺麗に仕上がります。
ノータックであれば股部分までで、股上部分はクリース線を入れません。ワンタック、ツータックの場合はお尻側は股部分まで、前側はタックに沿わせてベルト部分まで線を入れていきます。アウトタックの場合は脇側から、インタックの場合は内股側から入れるのが基本です。
ビスポークであればクセ処理を行いS字状にパンツを曲げていきますが、家庭のケアであればピシッと真っすぐになっていれば十二分美しいです。
クリース線が消えてしまったのでクリーニングに出す、というのは洋服にとって良くありません。スーツを格好良く着こなしていただき、長く愛用するためにも是非アイロン生活をお勧めいたします。
写真では中々伝わりにくい部分もありますので、ご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。
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