『コットンパンツのアイロン方法』~洗濯後の一手間で見え方が大きく変わります~
当店で大変人気のあるオーダーコットンパンツ。
ウールには出せない固くスポーティな質感はコットンならではのもの。誂えたものだからこそ出来るストンと落ちた美しいシルエットから色違いでの複数ご購入も多いアイテムです。私自身もオフホワイト、カーキ、ネイビーとコーディネイトにより使い分けをして大活躍しています。
シルエット以外にもご自宅で洗濯できるのも魅力なコットンパンツですが、洗いざらしのまま履くとせっかくのスラックス仕様のシルエットがでにくくなりますので、一手間を加えていただき是非ともアイロンをしていただきたいです。
動画を出すつもりで撮影までは完了しましたが、編集がまだの為、ブログで先にご紹介できればと思います。動画編集が完了次第、こちらのブログにも掲載しますので気長に気長に(笑)お待ちいただければ幸いです。
コットンパンツのアイロン方法
こちらが洗濯機で洗ったままのコットンパンツ。お洒落着コースで洗い、乾燥機はかけず外に干して乾かしたものです。シワが入り、センタークリースが消えているのが分かります。
アイロンの手順としては、
①霧吹きで全体を軽く湿らせる
②腰回りのシワを取る
③足部分のシワを取る
④センタークリースを入れる
という手順で進みます。
霧吹きを使い、全体を湿らせます。普通の水です。
アイロン台の端を使い、腰回りのアイロンをかけていきます。内側の袋布をまっすぐにしてシワが入らないように当てるのがポイントです。
直接アイロンを当てると縫い代の厚みからアタリが出る場合がありますが、コットンパンツの場合、私はあまり気にしません。それを含めて味わいだと考えています。
腰回りの前後左右、シワが取れると足部分のアイロンに移ります。センタークリース等気にせずシワを取っていってください。
コットン100%の場合は、履くとシワができるものなのである程度綺麗になる程度で良いです。
ある程度シワが取れると、センタークリースを入れていきます。
センタークリースの位置は前パンツ、後ろパンツともに中心に来るのが型紙の基本です。その為、左右の縫い代を合わせて折る事でセンタークリースの位置が分かります。
股の付け根部分も縫い代同士合わさっているか確認しながら折っていきます。下側にシワが寄っていないか注意してください。
まずは股側からアイロンをかけていきます。股の付け根位置までクリース線を入れていきます。
裾がダブル仕上げの場合は厚みが出ているので、他部位よりもしっかりとアイロンを乗せてください。
ノータックの場合は、股の付け根位置までセンタークリースを入れればOKですが、タックが入っている場合はウエストまで入れていきます。
タックの方向がインタックであれば、股側そのままの状態でウエストのタック位置までアイロンをかけます。アウトタックの場合は、脇側にひっくり返してタック位置までアイロンをかけていきます。
これを反対の足も行い完成となります。
いかがでしょうか。左右で大きく印象が異なるかと思います。
アイロンは手間がかかるものではありますが、この一手間をかけるだけでコットンパンツがより格好良くご着用いただけるものになります。
“装う”とはケアを始めとして、この一手間も含まれての“装う”事と思いますので、是非今回ご紹介したアイロンをお試しいただけますと幸いです。
動画を、、、はやく編集します(笑)
スーツの小ネタの関連記事
- スーツの小ネタ
フルハンドメイドオーダーは何が違う?~ジャケットのディティール編~
当店はお仕立てしている工房毎に複数のオーダーのレーベルを設けています。 EGRETのディフュージョンラインではありますが、自由度が高いカスタムレーベル (左右で半分違う生地なんてのも過去に作りました) 。イタリアンクラシコを感じさせる軽やかな着心地と美しいシルエットを作る国内屈指...
- スーツの小ネタ
【素材に拘る】夏に使いたいシャツ生地。〜コットンやリネン、同じ繊維でも使い方で変わる件~
絡み織りコットン コットン100%でも織り方を工夫することで涼しく着用する事ができます。これはからみ織りといい、経糸を絡ませながら横糸を通していくのでメッシュ状になり、目の粗いザラっとした手触りで涼しげな印象を持たせます。肌との接地面も少なくなり、夏の汗ばむ気候に適した素材です...
- スーツの小ネタ
【生地の基礎知識】平織りと綾織りについて一考。どういう服を作りたいかで決めると楽しい。
オーダー品の魅力は、数多ある選択肢の中から着用されるシーンに合ったものをお作りいただけることにあります。 フルオーダーと同義であるビスポークが、対話を意味するBe spokenからきているのも、お客様との対話を通してでしかオーダー品が作り上げられないことに由来します。このシーンで...
- スーツの小ネタ
ノーネクタイのシャツは【3つの襟】〜レギュラーカラーだとチグハグに~
夏に近づくにつれ、スーツを着られていてもノーネクタイにされる方が増えてきます。会社によってはクールビズ期間が設定され、“ネクタイをしてはいけない”ところもあるくらいです。 ブラウンやベージュといったリラックス感のあるスーツを除いて、ネイビーやチャコールグレーといった一般的なビジネ...
- スーツの小ネタ
クレリックシャツのすゝめ。正式名称:Winchester shirt (ウィンチェスターシャツ) の歴史と特徴。
最近、オーダーいただく事の多いクレリックシャツ。 その特徴は身頃と衿とが別素材となり、コントラストの効いたデザイン。Google検索すると予測変換で“クレリックシャツ ダサい”なんてdisられる事もあり過小評価される事もありますが、それは誤解であり1800年代から続くクラシカルで...
- スーツの小ネタ
【フランスの美学】フィッシュマウスラペルはこういう形。〜ジャケットの衿型について〜
ジャケットの顔といえるVゾーンは、上衿と下衿 (ラペル) で構成されます。 最も一般的な形であるノッチドラペルに、ダブルブレストのピークドラペル、タキシードで用いられるショールカラー等、スーツやジャケットの種類によって様々な種類の襟が存在します。 本日は、フランスの美学ともいえる...