クレリックシャツのすゝめ。正式名称:Winchester shirt (ウィンチェスターシャツ) の歴史と特徴。
最近、オーダーいただく事の多いクレリックシャツ。
その特徴は身頃と衿とが別素材となり、コントラストの効いたデザイン。Google検索すると予測変換で“クレリックシャツ ダサい”なんてdisられる事もあり過小評価される事もありますが、それは誤解であり1800年代から続くクラシカルで格好良いデザインです。
本日はクレリックシャツについて深堀りしていきます。
クレリックシャツとは和製英語であり、海外ではメリハリの効いたデザインである事から Contrast collar shirt (コントラストカラーシャツ)、アメリカの銀行マンが当時よく着用していた事から Banker collar shirt (バンカーカラーシャツ)、クレリックシャツの生みの親オリバー・F・ウィンチェスターから取られた Winchester shirt (ウィンチェスターシャツ) と様々な呼ばれ方をされます。
クレリックシャツの歴史
クレリックシャツの歴史やルーツは1800年代ヴィクトリア朝時代にさかのぼります。当時の洋服は現代よりも大変高価なものであり、擦り切れたり、汚れがひどくなれば修理して着用していくことが一般的でした。
その為、シャツの中で一番ダメージがいきやすい箇所である衿とカフスは、取り外しできるよう細工がされていました。これは縫製技術が未発達なこと、洗濯が頻繁に行わなかったというのも理由の一つです。
当時もシャツは白生地だけでなく、柄や色付きの生地は存在しており、交換する際に生地在庫が無い場合があります。共生地の代替として白い生地が使われますがこれが好評で、現代のクレリックシャツのデザインルーツに繋がっていきます。
1930年代になると取り外しするシャツの数が減っていき、別生地で切り替えられたシャツの数も激減していきます。しかし、ビジネスマンは別生地で切り替えられたデザインのニーズは残っており、そこに目を付けたオリバー・F・ウィンチェスターの会社が、色付きの身頃に白の襟とカフスを縫い付けた現代のクレリックシャツ (ウィンチェスターシャツ) を販売し、一大ブームとして広がっていきました。
クレリックシャツの着こなし
クレリックシャツの着こなしを格好良くする為のポイントは、襟とカフスの色を必ず白にする事、クラシックを追求するならボタンダウンにしない事、ジーンズやチノパンと合わせない事が挙げられます。
本来、1930年代のクレリックシャツの人気が高かった理由は、色柄の入った生地でもクレリックにする事で、ビジネスで合わせるフォーマル感が高まることでした。
襟を白以外にすると落ち着きや調和が無くなり、派手さが前面に出てきてしまうのでビジネスの場において不相応ですし、スポーティな襟のボタンダウンや、カジュアルなジーンズを合わせる事もルーツから考えると離れてしまいます。型破りと型無しの違いでしょうか。
これらの点さえ抑えておけば、クレリックシャツは汎用性が高い素晴らしいビジネスシャツです。
太幅の華やかなストライプも襟が白いことで調和しやすくなりますし、ネクタイも身頃の色に準じた色を合わせればほとんどの場合上手くいきます。開き気味の襟を選べばノータイスタイルにも使いやすいクレリックシャツは、シャツ選びの一つのアイディアとして欠かせないものになります。
以上、コーディネートの幅が広がるクレリックシャツをご紹介いたしました。シャツ選びのご参考になりましたら幸いでございます。
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