【コットン vs ウール】人気のベージュ色スーツの素材はどれが良いのか?比較してメリット・デメリットを紹介
春に近付き、気温が高くなってくるとオーダーする方が増えてくる薄い色のスーツやジャケット。
特にベージュは、肌馴染みが良い事もあり選ばれる方が特に多いお色味です。
本日は人気のベージュ色のスーツ・ジャケットを作る上でのポイントについて詳しく解説していきます。
ベージュスーツにご興味がある方や、ベージュスーツを試したがイメージと違ったという方は是非最後までご覧ください。
どちらで作る? コットンvsウール
ベージュスーツを作る場合、素材をコットンにするかウールにするかで実際の仕上がりの印象は大きく変わります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
コットン
メリット:最もスポーティな素材の一つでカジュアル感が生まれる。アイテム・仕様によっては自宅洗い出来る。
デメリット:シワになりやすい。美しいロールを出しにくい。
ウール
メリット:美しくロールを描きエレガントな雰囲気に作れる。
デメリット:クリーニングが必要。
織り方や混紡比率によっても若干の違いがありますが、上側コットンスーツはパキッとした質感でカジュアルな雰囲気が出ています。コットンの方が太い糸になりやすく、ハリもあるためこのような雰囲気になります。
対してウールはアイロンが効きやすく美しいドレープを作りやすく、ご普段のスーツのような綺麗目なスタイルを作り上げることができます。
これはどちらが良いか?優れているか?という話ではなく、作りたいイメージをカジュアルに振るのか、エレガンテに振るのかの選択になります。
その他、カジュアル感を出す方法について
素材選び以外にも、スポーティさ、カジュアルさを出す方法があります。
ステッチ巾を広げる
スーツの場合のステッチはコバといい、基本的に1~2mmの位置にステッチを打ちますが、カジュアルさを出すのであれば写真のように幅を広げて打つのも一つです。また、ダブルステッチといい二重に打つ事でもスポーティさを生む事ができます。
半裏や裏地・芯地を無くす
裏地について、フォーマルなスーツは総裏が基本です。夏のスーツによくある、半裏という背中の裏地を半分にする事でカジュアルさが少し生まれ、全くの裏地を無くすと身体のラインをスーツが拾いやすくカジュアルな雰囲気になります。
仕立ての技術が必要ですが、芯地を無くして軽さを出す事もできます。
パンツに尾錠を付ける
これはカジュアルさを出すという訳ではありませんが、軽やかなベージュスーツにはベルトレス (付けない) スタイルが良く似合います。ベルトループを無くして、サイドに尾錠を付けて着こなすのも大変格好良いです。
以上となりますが、いかがでしたでしょうか?
ベージュスーツやジャケットを作る上でのポイントを抑えていただき、イメージに合わせた服作りのご参考にしていただけますと幸いです。その他、ご不明な点等ありましたらお気軽にお問い合わせください。
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