イタリア伝統の手縫いボタンホールをご紹介。クラシコ好きな方にお勧めです。
スーツを縫製する上で、手縫いかミシンかでスーツの仕上がり方は変わってきます。手で仕上げると柔らかく丸くなりますし、ミシンで仕上げると直線的で均一になりやすいです。
アームホールや襟等、曲線しかない箇所は特に手縫いの良さが伝わりやすい部分。反対に直線に近いスラックスの足筒部分はミシンのほうが良いという職人もいる為、全ての箇所で手縫いが良いとは言い切れないです。
当店の場合、ミシンだけでなく、手縫いを組み合わせた縫製方法を取っておりので、着心地の良さを是非ご体感いただきたい所です (別途、手縫い工程を多くする事も可能です) 。
本日ご紹介するディテールは、着心地とは一切関係ありませんが (笑) 、イタリア・クラシコ好き、特にナポリやフィレンツェの柔らかさが出たスーツを好まれる方には溜まらない物になります。
イタリアの伝統的な手縫いボタンホール
一番上のラペルに着いたフラワーホール (ボタンホール) が今回のディテール。
ふっくらと立体的で、瓢箪のようなカーブを描いています。このエッジが強調されているのは、ボタンホールの中に芯糸が入っているからです。
一般的なミシンでのボタンホールと比べると一目瞭然。
ミシンで仕上げたボタンホール
手縫いで仕上げた一般的なボタンホール
芯糸を使い手縫いで仕上げたボタンホール
通常の手縫いで仕上げたボタンホールにも立体感があり素敵ですが、一番下のボタンホールは全くの別物。
再度お伝えしますが、着心地は変わりませんし、このボタンホールだから高級だというつもりもありません。
このディテールを私は好きなので、よく自分用のスーツに取り入れたりしますが、あくまで趣味の世界だと思います。洋服は楽しむ物です。
柔らかいソフトなイタリア南部のスーツの雰囲気がお好きな方は是非一度お試しください。
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