来年の春夏生地の仕入れが完了しました。最後はフォックスブラザーズ・ハリソンズ代理店。
姫路のオーダースーツ店EGRETでございます。
オーダーの世界では、次シーズンの生地は約半年前に仕入れを行います。生地サンプルを見せてもらう機関は11月から12月におこない、入荷はだいたい1月末から2月くらい。
生地サンプルは通常5cm角くらいなので、実際に仕上がる生地バンチよりもはるかに小さいです。もちろん闇雲に生地を仕入れている訳ではなく、想像力を活かしながら、この生地はあのお客様にこれ着てほしいなとか、自分用にこれ着たいなとか、想像しながら生地の仕入れをしています。
この瞬間、頭の中では色んなスタイルが出来上がっているので楽しい時間でもあります。実際にお客様に気に入って買っていただけるかは別なので(笑)。
そして、今回これが2022年春夏シーズンラストになるであろう仕入れが完了しました。以前まで担当していただいていたHさんが定年退職で、引継ぎをしてくれている中村さん (一番上の方。撮られるならもっとお洒落してきたら良かったと悔しがっていました 笑 ) が勤めるM社。
とても良いコレクションでしたので、仕入れる予定で無かった生地ブランドまで仕入れてしまいました。
実際の生地画像はまだ非公開ですので、文章でざっくりとお伝えいたします。
FOX BROTHERS (フォックスブラザーズ)
来年が創業250年だそうで、今回も気合の入ったブックレットの限定コレクション。それぞれ2反 (1反は約50m) ほどしか製造していない関係で希少価値が非常に高いものになっています。スティーブマックイーンをイメージさせたグレンチェックや、バブル期を思わせるラグジュアリーなコレクション、リネン素材のジャケット時にキャバレーツイルのパンツ生地。一つひとつに物語が感じられる素晴らしいコレクションでした。
良いお値段ですが、その価値は十二分にあります。
HARRISONS (ハリソンズ)
英国物は通常2~3年で一部リニューアルをするので、全てのコレクションが変わるわけではないですが、今回は3つほどの一部リニューアル。その中で当店が新たに加えたのが、リネン&コットンシリーズ。カジュアル化が進む現代の時代性を感じさせながらも、英国らしい高い目付で他ブランドであまり見ないクオリティのものが多いです。
ゼニア・ロロピアーナ
ゼニア、ロロピアーナ共にジャケット地が多く収録されている印象で、スーツをご着用されない方にも楽しんでいただけるコレクションではないかと思います。他商社から仕入れるものよりバリエーションが多いとは言えませんが、価格面での訴求が高く、初めて両ブランドを試したい方にもお勧めできる生地バンチではないかと思います。
CANONICO (カノニコ)
M社のカノニコのセレクトの素晴らしいところは独自性が高く、攻めているところ。
カノニコ社はイタリア最大の生地生産量を誇り、全ての生地が日本に入ってきているわけではありません。各商社が選別してバンチにしていくわけですが、M社の強みは4Ply、シルク混のソラーロ、ウールシアサッカーが豊富に展開されています。一般的には多く売れる生地ではありませんが、マニアックなこれらの生地には他ブランドにない魅力が詰まっています。
いかがでしたでしょうか。これら仕入れたものが入荷するのは1月後半から2月頃。どうぞご期待ください。
2021年のフォックスブラザーズはこんなコレクションを展開していました
【2021 春夏】フォックスブラザーズのお勧め生地をご紹介『FOXのオーダースーツ・ジャケット』
【2021春夏限定コレクション】FOX BROTHERS (フォックスブラザーズ)
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