【スーツの基本】直当てアイロンのコツ “ちょい浮かせ” ~テカりの原因は摩擦によるものです~
毎日スーツを着用されている方であったり、前日に雨に濡れてしまった時、消えてしまいがちなクリース線。
クリース線とはスラックスの中央でプレスされた線の事で、クリース線によって縦のラインが明確となり、スタイルが良く見えキチンとした印象も強くなります。
格好良くスーツを着こなしていただくためにも、キチンとクリース線が入った状態をキープすることが大切です。
本日のブログでは、クリース線を入れておく為に必要な“アイロン”についてコツと注意点を交えながらご紹介していきます。
スーツが“テカテカ”になるからとアイロンを敬遠されている方は是非最後までご覧ください。
(※カメラ故障中で、以後スマホ撮影の為、画像がお見苦しくなり申し訳ありません)
スーツのアイロンのコツ
どんなアイロンを使ったら良いか?よくご質問をいただきます。
結論、アイロンはスチームが出れば何でも良いですし、アイロン台もスラックスを置きやすい幅80cm程度あれば理想ですがこれも特段何でも大丈夫です。
必要な物としてアイロン、アイロン台、霧吹き、当て布、この4つあれば十分です。
まずアイロンの使い方の基本として、アイロンで当て布を使用していない場合、、、
“ちょい浮かせ”が基本。
ほんの少しだけ浮かせてアイロンを当ててください。布に体重をかけないアイロンで触っているくらいの感覚です。当て布無しで体重を乗せてしまうと、ウールの表面が寝てしまい、テカリの原因となります。高番手糸のスーツであれば、アイロン温度が高すぎないようご注意です。
スーツのお尻部分がよくテカってくるのも、座った際に椅子との摩擦と圧力が原因。摩擦と圧力を回避するちょい浮かせは、慣れるまでコツが必要ですが何回かかけていくと自然と身に付いていきます。
加えて、アイロンを当てる前に、汚れが付いていないか?確認してください。
汚れはブラッシングや濡れタオル等で取るのが基本で、もし汚れた状態のままアイロンをしてしまうと、熱により汚れが定着する原因にもなります。汚れのチェックも欠かさずに行っていただければと思います。
スラックスのアイロンの当て方
クリース線が消えているくらいに履いているスラックスは、大概他の部分にシワが付いています。
主に股、膝裏部分はシワが付きやすい為、最初にアイロンをちょい浮かせしてスチームを駆使しシワを完全に取ってください。頑固なシワは霧吹きで濡らし、アイロンを当てると取りやすくなります。
続いて、シワがとれたらクリース線を入れていきます。
前のクリース線が残っていれば、同じ場所に入れれば良いですが、完全に消えてしまった場合はどうするのか?
クリース線は前パンツ、後パンツともにパーツの真ん中にくるよう設定をされています。
画像のようにそれぞれの縫い代を重ねると真ん中の位置が分かるので、そこにアイロンをいれてください。これは型紙作成の基本ルールなので、余程デザインが入ったスラックスでない限り、クリース線は真ん中にあります。
最終的に当て布をあて体重をかけてアイロンあてて、しっかりとしたクリース線が入りますが、最初はちょい浮かせのアイロンで真っすぐ上から下までクリース線を見ながら軽く入れた方が綺麗に仕上がりやすいです。
当て布で仕上げる際も布をこすらないよう、押し当てる事を意識してください。
また、綺麗なクリース線をキープするコツは、アイロンを当てたら少し冷ます事。髪の毛もそうですが、ドライヤーを当てて冷やす事で形状がキープされます。熱を持ったまま他の部位のアイロン作業をすると、熱い状態だとシワが入りやすく綺麗に仕上がりにくいです。
時間がかかっても必ず冷やす時間を取りながらアイロンをすると上手くいきやすいです。
クリース線の番外編
“シロセット”というクリース線を取れにくくする折り目加工があり、オーダースーツ作成時やクリーニング時に依頼すると、アイロンの回数を減らす事ができます。
工場ではエクシリンといった液体を使用する事が多いですが、ご家庭で手軽にできるのが写真の“ピシッとライナー”という商品。
アマゾンで700円位で購入でき、スプレーするだけと使いやすくクリース線のキープ力もあるのでお勧めです (※染みにならないか目立たないところでお試しください) 。
アイロンのクリース線入れまとめ
いかがでしたでしょうか。スーツを格好良く見せる為に必要なクリース線の入れ方とアイロンの注意点をまとめてご紹介いたしました。
アイロンの“ちょい浮かせ”、テカリの防止にもなるので是非ご参考にしていただけましたら幸いです。
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