【パンツの股上】3Pスーツでベスト付き、股上が短いと『ヤバイ』たった1つの理由
『パンツの股上は短い方 (ローライズ) が足が長く見えて格好良い』
10年程前までは、そういった言葉が雑誌を飾っていました。スキニーパンツが大流行し、その細さに合わせて、ローライズのパンツが主流になったわけです。
ファッション業界には“トレンド (流行) ”という概念があり、たくさん販売する手段として時代に合わせた真新しいデザインの洋服を次々に販売しています。
トレンドはファッションにおける一つのゲームみたいなものなので、悪いという意味ではありませんが、ことスーツにおいてトレンドばかりに注目するのは良い選択ではありません。
堅苦しく考える必要はありませんが、スーツはクラシックという一つの型があるので、トレンドではなくクラシックを抑える事で着こなしが上手くいきやすくなるからです。
今回は3Pスーツ時における、股上の短さの注意点について解説していきます。最後まで見ていただく事で、股上が短いと“ヤバイ”理由が分かります。
そもそも股上とは?
そもそも股上とは、上に掲載しているRise部分の長さの事です。
パンツは、前後2つのパターン (型紙) で構成されていて、それぞれ股部分の縫い代から垂直に上がったウエスト部分までの長さを股上といいます (前股上、後股上とあります) 。
※カーブの長さを測った“股ぐり”と混同されやすく、ベルト部分を含めない股上表記もあるのでご注意ください。
この股上は日本国内においては、短い方が好まれる傾向にあります。股上が深いとおじさん臭くなるというイメージがあるからかと思います。
股上が短いと“ヤバイ”理由は?
股上を短くして起こる不都合の内、最も大きなものがベスト丈です。
ベスト丈と股上は相関関係があります
ベスト丈のクラシックな長さは、ベルト部分すっぽりと隠れる程度です (後ろ側はポケットとベルトの中間程度の長さ) 。
裾から少しベルトが見えるのは、クラシックスタイルからは外れ、
もしシャツが見えてしまっているベストは、着用をやめた方が良いレベルです。
ベストにはベルトを隠す“長さ”が必要となります。
という事は・・・
股上を短くした場合、ベスト丈を長くする必要性がでてきます
ベスト丈を長くしないと、シャツが丸見えのだらしない3Pスーツが出来上がります。
では、ベスト丈を長くすればいい。
そういう単純な話ではなく、
もしベストを長くした場合、胴部分が長く見えるので、スタイルが悪くなるデメリットが出てきます。
股上を短くする事のデメリットをお分かりいただけたと思います。
作りたい3Pスーツはどういったものでしょうか?
イメージだけで股上を短くして、ベスト丈が長いスタイルが悪く見えるスーツでしょうか?もしくはシャツが丸出しのだらしないスーツでしょうか?
スタイルが良く見えるクラシカルなスーツとは、、、
股上が深めに設定されベスト丈を短くした物です。
3Pスーツ時の股上のまとめ
股上とベスト丈は相関関係があります。
パンツの股上を短くすればベスト丈は長くなり、股上を深くすればベスト丈は短くなります。
どういうスーツを作りたいか?に合わせて調整することが大切ですので、是非ご参考にしていただけましたら幸いです。
『マニアックなスーツ情報』こちらのブログもお勧めです
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