え?もう秋冬?そんな服飾業界のお話
5月と言えば、夜はまだまだ肌寒い日があったり、昼は夏日に近い日があったりで寒暖差があります。これからだんだんと暖かくあるので、夏に向けて衣替えをどうしようかと悩む時期ではないでしょうか。
それを踏まえて冒頭の写真...
先日のメーカーの方がカシミヤのマフラーを持っている図でございます。
服飾業界恒例の“まだ夏にもなっていないのに秋冬の準備タイム”でして、この他にも半月ほど前に秋冬生地の商談をしていたり、明日も同秋冬生地の商談だったり、各メーカー展示会が多くなってきます。
しかし、これは服飾業界全般でいうと全然早いです。セレクトショップで働いていた時なんて、12~1月には次の秋冬の仕入れがありました。その商品が入荷して売れ始めるのは9月頃からなので半年以上先からの準備。セレクトされるコレクションブランド側からするともっと先からの準備であり、その先の生地メーカーからするとさらに、、、です。
現在のコレクションブランド事情は知りませんが、当時は大変な準備をされていたと思います。
話がそれましたが、仕入れをするにあたって大切にしている事が、実際のお客様の顔。
英国物の生地は基本的に数年間収録され続けますが、イタリア物はシーズン (半年) に一度新しい生地が登場して前の物は廃盤となります。
当店はクラシックを強く意識している事もあり、流行はあまり関係がありません。新しい物を追うという事は古くなるという事であり、流行を追えば必ず廃れます。クラシックが古くならないと言われるのは、変わらないからであり、お客様には洋服を出来るだけ長くご愛用いただきたいです。
とはいえ、時代が変わるのに全く変わらないことは不自然だとも思っています (どっちやねん) 。
何事もバランスです。
良い塩梅を見極めることが大切だと考えていますので、(トレンド感が入りやすい) イタリア物であってもお客様の顔を思い浮かべて、良いと思った生地は仕入れて、すぐに廃れてしまうような物はできるだけ取り扱わないようにしています。
もちろん今の時期でも秋冬生地を始め、全てのシーズンの生地を豊富に取り扱っていますので、通年で着ていただきやすいものや季節ものでお迷いでしたら、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
スーツの小ネタの関連記事
- スーツの小ネタ
フルハンドメイドオーダーの魅力について。
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、縫製をおこなう工房によってカスタム、クラシコ、フルハンドメイドとレーベルを分けています。どんな生地を使い、どの工房で縫製をおこなうかで仕上がりは違うものとなります。 カスタムとクラシコは、メイドトゥメジャーやイージーオーダー、パターンオーダー...
- スーツの小ネタ
【永久クリース仕様?】スラックスにクリースステッチを入れるデメリットを2つ。
スーツのスラックスに必要不可欠なクリースライン。パンツの真ん中に入っている線のことで、これにより縦長に足を綺麗に見せられ、またフォーマルな印象を持たせることができます。スラックスだけでなく、ジャケットとコーディネートさせることを目的に、デニム素材でもクリースラインを入れるイタリア...
- スーツの小ネタ
【ナポリっぽくしたい?】ジャケットのラペル位置をアイロンで変えてはいけない2つの理由
洋服の印象は素材によるところが大きいですが、型紙によっても雰囲気を変えることができます。 スーツであれば肩を構築的な角度で作ったり、逆に柔らかくしたりすることによって、英国やイタリアのエッセンスが加わっていきます。タイトルにあるラペルの返り位置もその一つで、返り位置を下げてVゾー...
- スーツの小ネタ
オーダーコートが楽しくなる季節に近づいてきました 『クラシカルなロングコートはいかがでしょうか』
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、新作のコーデュロイやモールスキンなどスポーティな服地が先日入荷し、常時取扱いしているカシミヤやメルトンといったクラシックな生地も含めて、充実したコート生地のラインナップをご覧になっていただけます。 このブログを書いている日中に外を見ながらコー...
- スーツの小ネタ
サイズが合っていないとジャケットの前合わせが開く件。※ただし例外の考え方も有り
オーダーの場合、お客様それぞれの体型に合わせてサイズの数値を設定していきます。そこにはその方に合った数値とデザインの数値というものが存在します。 例えばサスペンダーをされない方はベルトもしくは脇尾錠等を使い、骨盤の位置に引っ掛けるよう設定する必要があります。無理に股上を伸ばすと下...
- スーツの小ネタ
どこまで拘る、手縫いの妙。クラフトマンシップを感じさせるディティールについて。
6月に入り、夏を感じさせる日差しになってまいりました。季節の変わり目は体調を崩しやすいものですので、どうかご自愛ください。 さて、仕立ての世界は仕上がりまでに最低でも1カ月程度お時間がかかります (フルハンドメイドでしたら4カ月以上) 。 お直しなどは手縫いの方が融通が利きやりや...