【ジャケットの衿】ピークドラペル
スーツのオーダーをいただく際は、まずお客様のご要望やどういうスーツをお作りしたいかを詳しくお聞きしていきます。
どういうシーンでどう見せたいか?それを聞いたうえでお客にとって本当に適切なものは何か?考える事がスーツづくりの必須項目です。
木を見て森を見ず、では良いスーツをお作りすることはできません。
私、アメリカのフォードモーターズ創業者のとある話が好きです。
フォードさんは当時高所得者のものであった車を大衆に向けて広めた人物だと言われています。
フォードさんが何故広めることができたのか?それはお客様の意見を (言葉通りには) 聞かなかったことにあります。
車が普及していない当時の移動手段はもっぱら馬車。その時の大衆の意見は、早く走れて遠くまで走れる“馬車”が欲しいというものでした。
その意見をそのまま受け取れば馬車の開発に向かうところ、その真意は“移動手段”の改善であることを見抜いたフォードさんは、大衆が買える車を作り一時代を築いた、というものです。
お客様に真に求められているものを作っていこうと思う鳥形です。
スーツの話に戻ります。
お客様の話をもとにデザインを決めてきますが、スーツの顔と言えるのはラペルと呼ばれる下衿部分。
ラペルのデザインは大きく分けて2つです。
ノッチドラペルとピークドラペル。
スーツに通常採用されているのはノッチドラペルという、真っすぐに衿先が伸びた衿の事で9割以上のスーツはこのデザインです。たいして「尖った」という意味を持つピークドラペルは、衿先が上に上がっているのが特徴です。
燕尾服やタキシード、ダブルスーツに使われているデザインで、ノッチドラペルよりも衿が大きく見えることから華やかなイメージを持たせたいときに使われます。ノッチドラペルにも通じるところで、細ければ若々しくスタイリッシュな印象を持たれ、太ければ男性的で強い印象を持たせることができます。
着用シーンや、ご自身が見せたいイメージに合わせてピークドラペルをお選びください。大きく印象の変わるスーツをお作りする事ができます。
細かなデザインが全体のイメージを作り上げるのがスーツなので、どういう洋服を目指されるのか?ご一緒にお作り出来ましたら幸いです。
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