【水牛ボタン・ナットボタン】神が宿る細部へのこだわり
神は細部に宿る
とは言い得て妙で、細かい部分が積み重なって素晴らしいものが出来上がるという言葉です。
逆にうと、細かなところまでしっかりとしていないと、どんなに素晴らしい物に見えても悪く見えてしまう。
例えるなら、ラグジュアリーなレストランなのに隅にホコリが溜まっているとか、
スーツであれば高級な素材を使っているのにサイズがおかしい、のような感じでしょうか。
水牛ボタンの話
ボタンは遡る事6000年前から存在していたと言われ、ボタンの歴史が服の歴史そのものといっても過言ではありません。
もともと寒暖や外敵から身を守るという機能面の目的から存在していた服。冬になれば寒さをしのぎ、枝葉や石によるケガを防ぎます。
機能しかなかった服をもっと格好良い物しようという意図がどこかのタイミングで訪れ、装飾する目的で付けられるようになったのがボタンです。
ボタンには掘られたモチーフによって権力や信仰、所属をあらわしていました。
形は現代のままで当時は”留める”という機能性を求めてはいませんでした。
機能性を求められている現代でも、シングル2釦スーツの一番下は留めない”飾りボタン”として存在しています。
『留めないならいらない』
そういった意見もあるでしょうが、飾りという意図で存在していたというボタンの背景があるため現代でも変わらずに残っています。
格式高い水牛ボタン、軽やかに見せるナットボタン
オーダーにおける王道のボタンといえば、水牛の角から削り出した水牛ボタンや、ヤシの木の実から削り出したナットボタン。
どちらも天然素材であり、水牛はそれぞれに特有の節が出て、ナットボタンは木の年輪のような模様が出ています。一つとして同じものが無いのは天然素材ならではでないでしょうか。
水牛は染色が出来ない為、水牛の種類によって色が決まり、ナットボタンは染色によりカラフルな色をお作りする事ができます。
オーダーする生地は着用シーンや見せ方によって変わってきますが、細部へのこだわりの高さは変わってはいけないもの。クラシカルな水牛ボタンやナットボタンを含めてスーツのオーダーを楽しんでいただければ幸いです。
スーツの小ネタの関連記事
- スーツの小ネタ
フルハンドメイドオーダーの魅力について。
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、縫製をおこなう工房によってカスタム、クラシコ、フルハンドメイドとレーベルを分けています。どんな生地を使い、どの工房で縫製をおこなうかで仕上がりは違うものとなります。 カスタムとクラシコは、メイドトゥメジャーやイージーオーダー、パターンオーダー...
- スーツの小ネタ
【永久クリース仕様?】スラックスにクリースステッチを入れるデメリットを2つ。
スーツのスラックスに必要不可欠なクリースライン。パンツの真ん中に入っている線のことで、これにより縦長に足を綺麗に見せられ、またフォーマルな印象を持たせることができます。スラックスだけでなく、ジャケットとコーディネートさせることを目的に、デニム素材でもクリースラインを入れるイタリア...
- スーツの小ネタ
【ナポリっぽくしたい?】ジャケットのラペル位置をアイロンで変えてはいけない2つの理由
洋服の印象は素材によるところが大きいですが、型紙によっても雰囲気を変えることができます。 スーツであれば肩を構築的な角度で作ったり、逆に柔らかくしたりすることによって、英国やイタリアのエッセンスが加わっていきます。タイトルにあるラペルの返り位置もその一つで、返り位置を下げてVゾー...
- スーツの小ネタ
オーダーコートが楽しくなる季節に近づいてきました 『クラシカルなロングコートはいかがでしょうか』
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、新作のコーデュロイやモールスキンなどスポーティな服地が先日入荷し、常時取扱いしているカシミヤやメルトンといったクラシックな生地も含めて、充実したコート生地のラインナップをご覧になっていただけます。 このブログを書いている日中に外を見ながらコー...
- スーツの小ネタ
サイズが合っていないとジャケットの前合わせが開く件。※ただし例外の考え方も有り
オーダーの場合、お客様それぞれの体型に合わせてサイズの数値を設定していきます。そこにはその方に合った数値とデザインの数値というものが存在します。 例えばサスペンダーをされない方はベルトもしくは脇尾錠等を使い、骨盤の位置に引っ掛けるよう設定する必要があります。無理に股上を伸ばすと下...
- スーツの小ネタ
どこまで拘る、手縫いの妙。クラフトマンシップを感じさせるディティールについて。
6月に入り、夏を感じさせる日差しになってまいりました。季節の変わり目は体調を崩しやすいものですので、どうかご自愛ください。 さて、仕立ての世界は仕上がりまでに最低でも1カ月程度お時間がかかります (フルハンドメイドでしたら4カ月以上) 。 お直しなどは手縫いの方が融通が利きやりや...