オーダースーツを成功させるために【体型補正編】
EGRETの鳥形です。イーグレットウェンズデーのコーナーがやってまいりました。
本日のテーマはオーダースーツを成功するためにと題して、体型補正の面から成功の秘訣をお送りしていきます。
現在、日本全国津々浦々、様々なところで手の届きやすい価格からスーツを作ることができ、オーダースーツという選択肢が一般的なものとして広がってきました。
バストやお腹回り、肩幅など自分のサイズを目指して作れることはオーダースーツのメリットです。しかし既製品と違い仕上がりを確認できずに注文するため実際に仕上がったものとお客様の中のイメージと違うものができてくる可能性があることはデメリットといえます。
せっかくオーダーで作ったのにサイズがイメージしたものと違ったなど、お声があるのは事実です。私もEGRETを始めた際はお客様のヒアリングがうまくいかず、大きくお直しで修正した失敗経験があります(日々日々勉強勉強)。
バストやお腹回り、裄丈など簡単な場所の採寸は難しいものではないのですが、フィッティングからその方の体型を把握するところは知識と経験がものをいってきます。
フィッティング(体型補正)
ジャケットは通常バストの数値がジャケットのサイズの基本になります。
例えばお客様のバストヌード寸法(実際のサイズ)が90㎝であれば、これにゆとりX(8~14cm程度)を加えた90+Xcm(98~104cm)がジャケットの仕上がり寸法です。パターンオーダーの場合これを基準にしたサイズのジャケットを着てもらい、他カ所のサイズを修正していきます。
数字を見ながら実物を着せていくのである程度フィットしたものを作ることは難しくありませんが、ジャストフィットを目指していくならば体型補正についてしっかりと理解していかないといけません。
40代男性の平均的なバスト寸法は95cm程度。皆様の周りの方の体型をイメージしていただきたいのですが、骨格やお肉の付き方など全然違いますよね。体型が違えば、ジャケットの形も違わなければおかしいです。フィットさせるために、体型タイプを理解して補正を行う必要がでてきます。
私は現在33歳なのですがお腹が少しでたり(ビール好きのせいです笑)、肩が前についていたり、他にもいろいろな癖がある体型をしています。変な体型のおかげでおなじバストサイズのジャケットを着用しても、体型補正していないものは肩がこってしまい疲れてしまいます。
同じ重さなのに、こっちのほうが軽くて着やすいというのは、ジャケットが体に合っているかどうかが大きいです。
目指す形を対話して見つけていく
また、体型に合わせてジャストフィットを目指していくのは私たちの仕事なのですが、お客様がどういったシーンでの着用でどういう風に着たいか?によって目指す形が変わってきます。
上の画像などは分かりやすいと思いますが、左の腕を下におろしているときにはシワが入り、前にするとシワが消えます。この状態だと美しくないので、袖振りを後ろにしてシワを消すのですが、この状態のもののほうが手は前に動かしやすかったりします。
座り仕事が多い方と立ち仕事が多い方のスラックスの作り方を変えるとは、テーラー業界ではよくある話です。なので是非どういう風に着たいか?を教えていただけるととても助かります。
以上、体型補正の大切さについてブログにしました。このシワは何故入るの?など不明な点等ありましたらお気軽にお問い合わせください。
今後もスーツにまつわる小ネタをまとめていくのでお楽しみに。
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