『カノニコ・スーパーソニック』驚くほど軽いのに美しいアンコンスーツ
良いスーツの見分け方
YOUTUBEやブログでスーツ屋の鉄板となっているこのネタ。
よく言われるのが、①袖が本切羽かどうか、②見返しが台場かどうか、③ハンガーに掛けた時に袖が前振りになるかどうか、④接着芯でなく毛芯を使われているかどうか、という内容。
実はこれら全てケースバイケースという事はあまり知られていません。
①②の本切羽や台場に関して、イギリスのサヴィルロウの仕立屋は指定がなければ袖は開き見せ、台場は付かない事がほとんど。一流のテーラーが重要視している事が他にあるという事です。本切羽や台場がひと手間かかるディティールである事に間違いはありませんが、木を見て森を見ずでありイコール“良いスーツ”というのはあまりに突飛な気がします。
③ハンガーに掛けたら袖が前に振ってくるのも、お腹が出ていて反身がキツイ方であれば、体型に合わせたスーツの腕は必然に後ろに振っていきます。分かりやすく特徴を上げているのだと思いますが、それよりも着用したときに軽く感じるかどうかの方が重要なので、袖よりは衿や肩のフィット感のほうが良いスーツの条件にあげられると思います。
④の毛芯についても、今時多くのスーツはだいたい毛芯を使用していますし、むしろ接着芯を使う物は軽く仕上げたい等の意図があるように思います。毛芯の有無よりも芯がうまく表地に馴染むように据えてあり、綺麗なシルエットを作れているかどうかの方が大切です。
本日ご紹介する私物のスーツは、先日ブログにあったハイクラスな縫製工場にお願いしたものです。
該当生地を使用すると、2P価格130,900円 (税込) と決してお安い値段ではありませんが、着用いただくと非常に軽い着心地で、シルエットも美しい、この価格でこのクオリティと驚かれると思います。
上記④の話でいうと、毛芯はおろか接着芯やほとんどの副資材を使用していません。しかしやしかし、とても良いスーツだと自賛する仕上がりですので是非最後までご覧ください。
ハイクラスな縫製工場が気になられる方はこちらから。
EGRETのスーツを縫ってくれている縫製工場へお邪魔してきました
【カノニコのスーパーソニック】のアンコンスーツ
アンコン
アンコンストラクションの略で、服飾業界では芯地や副資材を使わずに1枚の生地で仕立てた物を指します。厳密には補強のためポケット裏に力芯を使っていますが微々たる事なので気にしてはいけません (笑) 。
アンコンは主にジャケットを指しますが、便宜上アンコンジャケットの共生地でスラックスを作ったものをアンコンスーツと呼んでいます。
アンコンスーツの特徴は、驚くほどの軽さ。
スーツは物質的な軽さと、肩に乗せた時の軽さの二種類ありますが、当店のアンコンはどちらも軽いのが特徴です。肩に乗せた時の軽さを実現させるためには、上衿の首への吸い付きと肩のフィット感が必要になっていきます。
こちらのスーツ、生地に落ち感があり芯地も入っていない事から、正直ハンガーに掛けてもあまり格好良くないです。上の写真を見てそう思いませんか?ペチャっとしていませんか?
これがトルソーに着せると少し変わっていきます。
トルソーだと立体感が生まれてきました。ハンガーよりも人間の身体に近くなってくることで、スーツが格好良くなっていきます。このトルソーは私のバストに近いということもありますが (笑) 。
最後に私が着用したのがこちらです。
いかがでしょうか。上のハンガーの時には平面的だったスーツが身体にフィットして立体的になっているのが分かるかと思います。アンコンの物はカーディガンのように着てもペチャっとしている事が多いなか、このシルエットを作りながら全く裏地や芯地が付いていないというのは驚きではないでしょうか。
ハイグレードでのアンコンスーツは108,900円 (税込) ~お作りしていただけます。生地次第で春夏用、通年仕様のも、秋冬用と使い分けをしていただけるのも魅力です。
驚くほど軽く、驚くほど美しいアンコンスーツが気になられましたら、是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。
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