【S様のご依頼】HARRISONS “BURRA BAY”の風合いが素晴らしいオーダージャケットのご紹介
スーツの語源は“一つ揃いの~”からきており、同じ生地で作られた本来はベストを含めた三つ揃いスーツのことを指します。現代ではカジュアル化、簡略化が進み、ベストの無いジャケット&トラウザーズもスーツと呼ぶようになっています。簡略化されたものですので、スポーティなイメージがあり格式高いシーンにはそぐわないですが、ビジネスの場であればなんら気にする必要はありません。
さらにスポーティにさせたのが、ジャケパンスタイルとなるわけです。度々、スーツのジャケットをジャケパンスタイルにも使ってよいかどうか聞かれることがあります。EGRETの価値観では、スポーティなスーツであればOKですとお答えします。一般的なダークカラーの梳毛糸で織られたサージや、ツイルではエレガントに見えてしまい、ジャケパンには向きません。
ジャケパンに向く生地は、太い糸で織られたものや織りがあまいもの等々、スーツにはあまり使われないもののほうがよろしいかと思います。
本日ご紹介するS様のオーダージャケットには、太番手糸を使ったざっくりとした風合いある、英国の雄、HARRISONS(ハリソンズ)の“BURRA BAY (バラベイ) ”シリーズをお使いいただきました。質感の良さが写真では伝わりづらい生地ですので、是非店頭でご覧頂きたいシリーズです。
メリノウールに40%のシェットランドウールをブレンドさせた絶妙な色出しと、質感が特徴的です。全25クオリティで、色柄も魅力的なものが多いため長い期間で着用されるジャケットをお考えの方にぴったりではないでしょうか。
様々な生地をS様にご覧いただき、最終的にお選びいただいたのがこのグリーンカラーのウインドウペンを使ったこちらの生地。ブラウンの糸も混織され、奥行きのあるグリーンです。丸い仕立て上がりも非常に綺麗ですね。
重厚でマットな水牛ボタンが生地の迫力に負けず、マッチしています。
マニカカミーチャとも呼ばれるシャツ袖仕様。ゆき綿を省き、縫い代の倒し方向を身頃側にすることで固さの出ない、ソフトで身体のラインを拾うシルエットになります。
パッチポケットもオッドジャケットらしいスポーティさが出やすいです。S様のこだわりで、パッチポケット口をしつけておいて使えないようしています。伸び留めテープを張っているとはいえ、ポケット口は使用していると伸びやすくなるものですのでそれを防ぐ狙いです。
こういった細かな普段の所作を意識してお作りができるのもオーダーの魅力の一つです。長財布の長さに合わせた、内ポケットの深さの指定もたまにご依頼いただきます。
S様には必ずご指定頂く手縫いのフラワーホール。芯を入れてあり、ふくみのあるホールを作ることができます。
S様、いつもご依頼頂戴しありがとうございます。暑さも和らいできましたので、HARRISONS“BURRA BAY”によるジャケパンスタイルを楽しんでいただけましたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
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