【K様のご依頼】“手縫い”を取り入れ、美しく仕上げたイタリア製生地のオーダースーツ
スーツを縫製面から捉えると、手縫いを駆使することでクオリティが高くなることに間違いはありません。とはいえ、スーツはあくまでも主役であるお客様を輝かせるためのものであり、スーツが良ければそれで良いというわけではありません。
時計にも数千円のものから、中には何億円するようなものもあるように、その方にとってのオーバースペックであったり、ブランド (歴史的背景) が必要がない場合は往々にしてあります。トゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーといった3大複雑機構なんて店主も憧れではありますが、まだまだ夢の話です (笑) 。
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、スーツにどこまで手縫いを取り入れていくのかも、拘りに合わせてお客様にお選びいただきたい部分でございます。本日ご紹介するお客様のスーツは、ご結婚のお祝いということで特にと拘りを持たせたスーツをとご依頼頂きました。どこに手縫いが施されるているかもご注目頂き、是非最後までご覧ください。
手縫いを取り入れたオーダースーツ
イタリア製の光沢のあるしなやかな生地をお選びいただきました。シャドーチェックといい、同色糸による織りで柄が表現されています。遠目からは無地に見えて、近づくと柄に見えるさりげない生地は当店でもお選びいただくことが多いです。
ゆとりをたっぷりとりながら、お客様のお身体を包み込む綺麗なシルエットのスーツです。細いスーツと細く見えるスーツは違います。ゆとりをもたせても尚、綺麗に見える、スタイル良く細く見えるスーツをEGRETでは目指しています。
手縫いを取り入れたところ一つ目は、フラワーホールとカンヌキ部分です。通常D管といい、ミシンで作成したD状のカンヌキが一般的ですが、こちらのスーツには手でカンヌキを施しています。フラワーホールやカンヌキを手縫いでしたからと強度が増すわけではありませんが、手縫いならではのふっくらとしたディテールがスーツ全体の印象を暖かみがあるものへと変えてくれます。
本襟掛けは手でおこなう事による着心地上昇と見た目の美しさを高めるディテールです。手でおこなう事でゴージラインは美しくカーブを描き、クセ取りにより首への吸いつきが増幅し、ジャケットの重みを分散させより軽い着心地へと近づきます。
袖のイセ込み量を増やす事も着心地上昇に繋がります。多ければ良いわけではありませんが、適切なイセ込み量は小さなアームホールに、大きな袖を付けやすくなり、肩の可動域を増やしていきます。
いかがでしたでしょうか。随所に“手”を加えたこだわりのスーツをご紹介いたしました。お渡ししたK様にも大変お喜びいただけ嬉しい限りです。これからも、お客様の“思い”を大切にして洋服を仕立てていたければと思います。
K様、この度は誠にありがとうございました。
お客様の写真の関連記事
- お客様の写真
【S様のご依頼】HARRISONS “BURRA BAY”の風合いが素晴らしいオーダージャケットのご紹介
スーツの語源は“一つ揃いの~”からきており、同じ生地で作られた本来はベストを含めた三つ揃いスーツのことを指します。現代ではカジュアル化、簡略化が進み、ベストの無いジャケット&トラウザーズもスーツと呼ぶようになっています。簡略化されたものですので、スポーティなイメージがあり格式高い...
- お客様の写真
【I様のご依頼】クラシカルなミッドナイトネイビーのオーダースーツ “DOMINX (ドミンクス)”
紳士服において、最もフォーマルな色はブラックです。次いでネイビーとグレーとなり、どちらも黒に近づくダークトーンになればなるほどフォーマル度が増していきます。その最たるものがネイビーであれば、ミッドナイトです。 ミッドナイトネイビー、ミッドナイトブルーの生地の誕生は19世紀後半とも...
- お客様の写真
【K様のご依頼】SCABAL “SAVILE ROW” ブルーグレーカラーのオーダースーツ
過去2日間にわたり、新たに加わったSCABAL (スキャバル) のバンチ (THE ROYAL & MAJESTIC) をご紹介いたしましたが、SCABALの魅力を少しでも感じていただけたなら幸いです。 本日は、同ブランドの主軸となるSAVILE ROW (サヴィルロウ) シリー...
- お客様の写真
【O様のご依頼】ウールリネンの風合いある三つ揃いオーダースーツ
姫路のオーダースーツ店EGRETのブログでは、しばしば“風合いのある生地”、“風合いの良い生地”という表現を使用しています。風合いとは、生地の全体的な印象を指し、柔らかさや光沢、厚み、質感など、総合的な趣を表す言葉です。 今回、O様にお選びいただいたのは、ウールにリネンがブレンド...
- お客様の写真
【H様のご依頼】SCABAL “CLASSICS (クラシックス) ” マイクロヘリンボーン生地を使ったオーダースーツ
姫路のオーダースーツ店では、常時10,000種類以上の生地を取り揃えており、似たような生地でも細部の違いにまでこだわってお選びいただけることが当店の強みです。 もちろん、生地を一から織り上げることで、よりパーソナルなスーツを作ることも可能ですが、1着分 (約3~3.5メートル) ...
- お客様の写真
【T様のご依頼】HARRISONS “CRU CLASSE” 王道ネイビースーツ
姫路のオーダースーツ店で、最も多くご依頼いただいているスーツ生地はネイビーの無地です。オーダーメイドだからこそ、個性的な生地を選びたいというお客様も多いですが、やはり王道を選ぶと、このネイビー無地に行き着くのではないでしょうか。 当店では、この王道のネイビー無地を数百種類ご用意し...