【I様のご依頼】クラシカルなミッドナイトネイビーのオーダースーツ “DOMINX (ドミンクス)”
紳士服において、最もフォーマルな色はブラックです。次いでネイビーとグレーとなり、どちらも黒に近づくダークトーンになればなるほどフォーマル度が増していきます。その最たるものがネイビーであれば、ミッドナイトです。
ミッドナイトネイビー、ミッドナイトブルーの生地の誕生は19世紀後半とも20世紀初頭とも言われ、夜会のなかで黒よりも黒く見える生地をと要望があったことだとされています。現代でも格式高い正式な洋服にはブラックもしくは、このミッドナイトの生地が使われています。
今回ご紹介します、I様にはそんな格式高い色でビジネスユースのスーツをというご依頼をいただきました。
DOMINX “Tasmania Blend”
使用する生地には、日本を代表する実力派生地メーカーである葛利毛織のDOMINXより、マイクロヘリンボーンのミッドナイトネイビー。通常よりも細かな柄のサイズのマイクロヘリンボーンは、モーニングコートにも使われるこれまたクラシカルな柄です。
葛利毛織では、現代主流になっている高速織機の10分の1程度のスピードで織りあげるションヘル織機を使用しています。古き良き“ふくらみのある生地が作れる”とは、葛利毛織工場長の言葉です。
仕上がったスーツがこちら。流れるような美しいシルエットでI様の身体を包み込みます。
ベストを着用した際、ジャケットのボタンは留めていても、外していてもどちらでもかまいません。ベストはウエストコートとも呼ばれ上着扱いになるため、ジャケットのボタンは外して“も”可というのが正式な着こなしです。
そして、ジャケットのボタンを外した際に裾が左右に広がり過ぎないことも大切です。狙いが無く、大きく広がるのはどこか設計が甘いということですし、腕と身頃の間に空間ができずスタイルを悪くみせてしまう原因ともなります。
I様は30年ぶりにオーダーをされたそうで、お渡しの際、そのままこのスーツを着て帰っていただけるくらいにお喜びいただけました。洋服屋冥利で嬉しい限りです。
現在お仕立てしているシャツの仕上がりもご期待頂ければと存じます。
I様、この度は誠にありがとうございました。
お客様の写真の関連記事
- お客様の写真
【カシミヤクラス】DRAGO (ドラゴ) のSuper180's SKYFALLを使ったジャケパンスタイルのご紹介
強風の影響もあり、気温以上に寒く感じる今週末。昨日も秋冬の装いのご相談や、成人式や結婚式のスーツなど、たくさんのオーダーのご依頼ありがとうございました。合わせて仕上がりました洋服のお渡しが続いています (予約の都合でご来店できなかったお客様申し訳ありません) 。フランネルやカシミ...
- お客様の写真
【姫路市K様のご依頼】レディースのオーダースーツ3バリエーション
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、女性に向けたオーダーアイテムの展開もしています。 紳士服に比べると女性の洋服の仕立ては多くの場合、難易度はが高くなります。平面的な男性の身体に合わせる以上にフィッティングは複雑になり、メンズスーツのように明確なルールが少なく、自由度が高いこと...
- お客様の写真
『葛利毛織 (くずりけおり) 』ションヘル織機による国産ウールを使ったオーダースーツ
国内有数の生地産地である尾州において、今なお昔ながらの低速織機 (ションヘル) を使用している葛利毛織。現在主流となっている高速織機に対して、低速で生地を織り上げることにより、空気をはらんだふくらみのある生地が作れ、その違いは10年着用することで経年変化を感じていただけるようにな...
- お客様の写真
【A様のご依頼】LORO PIANA “AUSTRALIS (オーストラリス)” ~Super150's のブラウンスーツ~
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、常時10,000種類以上の生地を取扱いしています。これはいつご来店いただいても、全ての季節、シーンに合わせた洋服をご提案したいと考えているからです。仮に無地のネイビーというよくある生地であったとしても、繊維や糸の太さ、生地の厚み、色の出方など...
- お客様の写真
【美しき手仕事】手で縫うことでより丸くなるオーダースーツについて ~DORMEUIL & DRAPERS~
姫路のオーダースーツ店EGRETでは、カスタム、クラシコ、フルハンドと3つの工房でお仕立てをしており、フルハンドにアップグレードするたびにミシン中心から手縫いの工程が増えていきます。また、クラシコの工房でもプレステージオプションとして手縫い箇所を増やしていくこともでき、手縫いにす...
- お客様の写真
【T様のご依頼】フォーマル度の高い、黒のプレートゥオーダーシューズ
スーツは色やデザインによってフォーマル度の違いがでるように、靴もデザインによってフォーマル度が変わってきます。フォーマル度の高いスーツにローファーのようなスポーティな靴は相性が良くないため、それぞれのフォーマル度を考え、調和のとれたものをコーディネイトしていきたいところです。 姫...