【リネンスーツ】姫路市山田様のオーダースーツ “ SPENCE BRYSON / スペンスブライソン ”
巷ではスーツの着用の機会は減ってきており、所謂“スーツ離れ”と言われる事が多いです。温暖化かそうでないかは不明ですが、これからの夏の暑い日であればクールビズスタイルとしてシャツにスラックスで過ごされている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
当店の場合はといいますと、2019年オープン時よりスーツをご依頼いただく方が年々増えております。初めてご来店頂くお客様にお聞きすると、毎日着用する消耗品としてのスーツでなく、拘りの一張羅として利用したというお声が少なくありません。スーツの場合、拘りを突き詰めていくとオーダーという選択は自然です。
本日ご紹介する山田様 (何度もブログにご出演いただき、感謝いたします) は、オープン当初よりご愛顧いただいており既に何着もスーツをお持ちで、夏のスーツとして今回お作りしたのはリネンの三つ揃いスーツです。
SPENCE BRYSON (スペンスブライソン)
リネンは麻の一種で、同じリネンであってもイタリアや英国、フランスなど生産地によって質感の傾向が変わってきます。イタリアやフランスの柔らかいリネンに対して、ガチっとしているのがアイリッシュリネンで、それを代表するメーカーがSPENCE BRYSON (スペンスブライソン) になります。SPENCE BRYSONとGoogleで検索すると当店のブログが一番上あたりに来るというプチ自慢は置いておいて、私も大好きな英国的なバリっとした質感のリネンを織っています。
その主力シリーズとなるのが平織りで目付370gのTROPICAL。他シリーズに比べて糸を細く、打ち込みを強くしているため、トラウザーズにも耐えうる耐久性を持ちます。また、毛羽立ちも少ないため比較的クリアな印象を持っていただけるシリーズです。
リネン素材の一番の特徴はシワです。シワを敬遠される方もいらっしゃいますが、リネンはシワが入るのが格好良いという価値観の元お作りしていきます。
SPENCE BRYSONのようなハリコシがある素材の場合、シワは大きく強く入り、それが装いの雰囲気を高めていきます。まだまだ新品の固いリネンですので、たくさんご着用していき、柔らかいリネンへと育てていっていただければと思います。
ご依頼の受付時にはジャケットとトラウザーズの組み合わせかな、とおっしゃっていた山田様でしたが、お話していくうちにベストを付けた三つ揃いにと相成りました。写真であわされているようにコットンリネンのシャツに、ニットタイでタイドアップしても素敵です。
よく見ると所々に節が出ています。綺麗なモノづくりを目指すウール系の素材であれば避けて取る節も、リネンはそのまま活かしてお仕立てします。
靴は、奈良のOriental (オリエンタル) 。ジャケパンスタイルやスポーティな雰囲気の素材が使われたスーツにはグッドイヤー製でコバがせり出た堅牢な靴よりも、マッケイ製等のコバが出ていない靴を選ばれた方が相性が良いです。
ジャケットを脱いでも様になるのが、ベストの利点の一つ。それぞれのアイテムで別々にご活躍していただけるのではと思います。
山田様、いつもありがとうございます。たくさんご着用頂き、リネンスーツの良さをご実感して頂きながら育てていっていただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
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