二人のお客様のスウェードのオーダーシューズ 【Charles F Stead “Super Buck”】
スーツやジャケットスタイルにおいて調和は一つのキーワードであり、洋服のスタイルが柔らかいスポーティなものにされた際には、靴も同じようにテイストに合わせていくのがセオリーです。最もフォーマルな靴の一つである黒の内羽根ストレートチップに、色が薄めのスポーティなスーツは合わないですし、ミッドナイトネイビーの三つ揃いのスーツにローファーを合わせるのは軽すぎる印象があります。
ややスポーティな靴を作りたい方にスウェード素材はお勧めです。過去、秋冬のイメージが強かったスウェードも現在では通年使いが定着しています。流石に夏の炎天下に暗い色のスウェードはあまりそぐわないように思いますが、それ以外のシーンであれば問題なく私も着用しています。
今回、同じ種類のレザーを使ったスウェードのオーダーシューズが仕上がってまいりまして、それぞれに個性ある仕上がりとなりましたのでご紹介いたします。
Charles F Stead “Super Buck (スーパーバック)”
世界的なスウェードのタナリーCharles F Stead (チャールズ・F・ステッド) 。創業1904年 (前身は1823年創業) の老舗タナリーで、多くのスウェードを生産している中で、最高峰と言えるのがSuper Buck (スーパーバック) です。毛足が短く目の細かな表面は非常に上品で、この老舗タナリーがグッドイヤー製法のスウェード靴を作るなら、Super Buckと自信を持って提案する逸品です。
一人目のお客様のものは、ブラックスウェードで作るキャップトゥモデル。クオーターブローグと適度な穴飾りが上品でビジネス使いもして頂きやすいデザインに仕上がりました。
スウェードは雨に弱い、というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、実際は逆で雨に強い革と言えます。革の裏部分を使うスウェードは銀面が内側に残っている場合堅牢になり、撥水スプレーを使用することにより、スウェードの毛羽に撥水効果が残り水をはじきやすくなります。特に黒は雨染みが目立たないため、ソールをラバーにして雨の日靴としてお使いになられる方もおおくいらっしゃいます。
ウエストのくびれの美しさ、各所のディティールも綺麗に仕上がっております。グッドイヤーウェルテッド製法のため、最初は固めの履き心地となりますが、履くごとにソールの中にあるコルクが沈み込み、履かれた方の足によりフィットをしてまいります。
遠方のお客様で、仕上がり品をご配送させていただきましたが、左右差の補正も上手くいき懸念されていた小指の痛みもないそうです。最初の一足でしたので、ご満足いくお渡しができ嬉しいです。
二人目のお客様のスウェード靴がこちら。GAUSHOという薄いベージュカラーのSuper Buckで作ったチャッカブーツです。あまり見ることが無いカラーリングで自分の足のサイズに合わせてお作りできるのもオーダーの魅力です。
後から見た際の踵の丸みは、ブーツになるとより分かります。海外の方の足に合わせた靴は踵が大きめに作られる場合が多く、足に合わないという方も快適に履いていただける木型を採用しています。
お客様にはお渡しの際、色・デザインを大変気に入っていただけ、そのまま履いて帰られました。その後、履いたまま会食などにも行かれ履き心地の良さもご満足いただけました。
薄い色のスウェードは、汚れが付きやすい側面がありますので、事前に撥水スプレーを振っていただき、ブラッシングやこういった消しゴムで汚れをとるのが対策として挙げられます。ブラッシングをしていればある程度落ちますし、少しやれたくらいがこなれて見えて格好良くなるものです。
オーダーシューズの納期は約3カ月と、スーツやシャツと比べてお時間を頂戴しておりますが、間違いのない靴をお作りして頂けますので、姫路市で拘りの靴をお探しの方は是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。
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