【冬スーツ・ジャケットの代名詞フランネル生地】三者三様のお客様の仕上がりをご紹介
年を追うごとに“暖冬”“気温が下がらない”という理由で、コートや冬衣料の人気が下がっているとアパレル業界では言われていますが、当店では反対に冬だからこそ着用いただける洋服の需要が高まっているように思います。
年中ご着用いただける、所謂3シーズン生地を求められることも多いのですが (むしろ1着のスーツであればそれがお勧めです) 、季節感の出る服地を求めてご来店いただくお客様も増えてきています。本日は同じ週に仕上がってきたフランネルスーツ&ジャケットのご紹介をいたします。
このブログを書いている12月9日現在、今オーダー頂くと最短で1月半ば~後半になるので (工房により2月半ば仕上がりのものもあります) 、今年は1か月程度ご着用いただき来冬また活躍するのを待つ洋服とはなりますが、冬は必ず訪れますのでご安心ください (笑) 。
仕上がった洋服3着はサムネイルのもので、それぞれカノニコ、ドミンクス、フォックスブラザーズの生地をお使いしております。どの生地も素晴らしいものであり、それぞれに特徴がございますので、一つずつ見ていきたいと思います。
FOX BROTHERS
フランネルといえばフォックスブラザーズ。フォックスブラザーズといえばフランネル。と言われるようにお互いの代名詞となる素晴らしいブランドです。
特にこちらは創立250周年を記念したコレクションより、AGNELLI CHALK STRIPE (目付530-560g) を使用しています。これは稀代の伊達男、フィアットのジャンニ・アニエッリへのオマージュとして制作され、チャコールグレーをベースとして幅が異なる2本のチョークストライプを交互に組み合わせたオルタネイトストライプが特徴の生地です。
しっかりと織り込まれており、目付よりも薄く感じる一方でしっかりとしたハリコシがあり、特別な生地であることが仕上がったものをご覧いただくとすぐに分かります。
DOMINX
昔ながらの低速織機により織り上げるドミンクスより、ヴィンテージ感の強いフランネル (目付 420g) を使用したスーツです。良い意味で中庸なブランドのこちらのフランネルですが、シルエットの良さがお分かりいただけますでしょうか。良い工房を使用しているというのもありますが、英国生地で作ったと思われるくらいに美しい仕上がりです。
デザイン面でいいますと、ピークドラペルにチェンジポケットを英国スーツから着想の入ったディティールを取り入れています。
VITALE BARBERIS CANONICO
英国、日本ときまして、カノニコはイタリアの生地メーカー。偶然にもミル (織元) ブランドばかり並んだのもユニークですね。
とはいえ、カノニコはイタリアメーカーの中でも特異なポジションにあり、一般的にイタリアメーカーは生地のやわらかさを出したり、風合いを出すために横糸を単糸 (1本) で作り、英国メーカーは生地の強さやハリコシを出すために横糸は双糸 (2本) で作ることが多い中、カノニコは双糸の生地が多く、英国的な考えを持っていると言えます。
さらにこちらは、色見本で有名なパントーンとのコラボレーション生地。モロッカンブルーというブルーグリーンの色合いで、この色を再現するカノニコの技術力の高さが伺えます。非常に希少な生地であり、生地の仕上がり前に完売してしまったところ当店も1着キープできたものになります。
340gとこちらの中では最も軽量なボディですが、そこは流石カノニコでジャケットも綺麗なシルエットで仕上がってきております。
いかがでしたでしょうか。
迫力のあるフォックスブラザーズのチョークストライプのフランネル。中庸でクラシカルなドミンクスのフランネル。ソフトで華やかなカノニコのフランネル。それぞれに良さがあり、求められる洋服によって使い分けをしていただける素晴らしい生地です。
仕上がりは来年となりますが、それ以降も長く長くご愛用いただける拘りの冬スーツ・ジャケットをお探しの方は、是非お問い合わせいただけますと幸いです。
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