【クォーターブローグ・ハーフブローグ】同じ黒靴でも用途が違うとデザインが変わる話。
スーツに合わせる革靴というのは足に馴染ませていくのが基本です。
特にグッドイヤーという製法の靴は、靴底に入っている詰め物が、足の形にあわせて沈み込む事を前提として作られています。
なので、お客様の足の形を目指して作るオーダー靴といえど、長時間履かれると最初は痛みを伴う場合もあります。これは一から木型を削り出すビスポーク靴も同様で、仕上がりの状態で余裕のある状態だと、詰め物が沈み込んで緩さが出る事もあるからです。
最初から歩けないくらい締め付ける靴は問題だと考えていますが、ある程度履いていき馴染ませるのが革靴の (特にグッドイヤー製法の靴は) 醍醐味です。
本日、ご紹介する革靴は以前ご注文いただいた靴を気に入ってくださり、違う用途の靴をとご注文いただいた物です。同じ黒靴でも用途によって、デザインを変えております。
クォーターブローグ・ハーフブローグ
こちらの2足、どちらもパンチドキャップトゥと呼ばれる、横一文字が入ったトゥの切り返しに飾り穴 (ブローグ) が付いているデザインですが、それぞれクォーターブローグ・ハーフブローグという名前が付いております。
クォーターが1/4、ハーフが1/2と、それぞれのブローグが施されている割合です。
最も穴飾りが多いのは、ウイングチップというトゥがW状になっている靴で、全体に飾り穴が施されているのがフルブローグと呼ばれます。
クォーターブローグ
こちらは1/4のクォーターブローグで、ブローグが控えめ。全く飾り穴が無いストレートチップに比べるとフォーマル度は少し下がりますが、モーニングで正装する訳ではありませんので、結婚式~ビジネスのシーンまで幅広く使えるフォーマルな靴です。
内羽根&革底なのも、フォーマルな靴の一つの条件です。
ちなみに、JRという刻印の入ったこの革底はドイツのレンデンバッハの物ですが、昨年廃業してしまい在庫限りの取扱いとなりました。。。コロナ禍で革靴の資材業界も影響を受けているようです。無くなり次第、代替の (こちらも一流ソールメーカーの) 物に変更になります。
ハーフブローグ
踵部分にも飾り穴が付いたハーフブローグ。クォーターブローグよりも華やかさが増し、基本はビジネススーツで合わせる事が多い靴。これに遊びを加えており、内羽根部分が姫路を代表する黒桟革で切り返しています。
黒桟革は、姫路の革に漆を塗り仕上げた逸品であり、余りある存在感が靴から醸し出されています。
スポーティさのあるこちらの底は、ハルボロラバー社のダイナイトソールを使用しています。
用途に合わせて、デザインや素材を選べ、足に馴染んでいく靴が出来るのがEGRETのオーダー靴の特徴です。姫路でこだわった革靴をお探しの方は是非一度お問い合わせください。
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【黒や茶色だけでない!】アノネイ社の最高等級レザーを使用したパティーヌ革靴のオーダー
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