1着目より2着目、3着目と仕上がっていくのがオーダースーツ
オーダースーツにはパターンオーダー、フルオーダーという名称が分かれているように出来る補正範囲、手法によって呼び方は様々ですが、どれにも当てはまることがタイトルの内容。
1着目で100点満点の物をお作りすることは、非常に難しいということ。
いやいや、プロでないの?
そう思われるかもしれません。バスト寸法、ヒップ寸法など採寸を間違えることはほぼないです。
難しいことは、お客様の体型を測らせていただいてた上で、お客様に“合った”形にすることなのです。
例えば、ジャケットの身頃 (ボディ部分) だけでもざっくり分けて3つのパーツ (前身頃、脇身頃、後身頃) で構成されています (左右あるので×2ですね) 。
これら3つのパーツは生地なので、当然平面。ダーツ、イセ込みを駆使して体に合うような立体に仕上げていくわけですが、芸術品や他の工業製品と違いことがあります。
それは洋服の大原則が“人間が着用する”ことです。
スーツが仕上がればお客様に着ていただいて、答え合わせをします。
前肩がうまくいっているか?鎌の位置があっているか?純粋に美しいか?
そこで修正点があれば微調整していきます。
しかし、もっと大切なことはそれを着て“生活”をするということです。
美術品であれば、それを着て生活をすることはありません。しかし洋服は着用して動くことが求められるので、仮に立ち姿が完璧であってもお仕事をしにくければ、そのお客様に合ったスーツではないのかもしれません。
また、店舗にいらっしゃった際のお客様の姿と、普段スーツを着られるお客様の姿は同じでしょうか?鏡の前で胸を張っていたり、いつもより肩がこわばっていませんか?
そういった調整を少しずつ加えることで2着目、3着目とオーダースーツは仕上がっていきます。
お客様に満足していただいて、同じサイズで2着目もお願いします!とご依頼された時ても、少しの調整を加えていたりします。お客様が分かりにくい範囲の事かもしれませんが、いつかどこかでどんどん良くなっている、そう感じていただけるよう研鑽を積んでまいります。
先日ご依頼いただいた写真のお客様の2着目ももっと良いスーツにするぞ!と意気込んだ鳥形でした。
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