裏勝り?いえいえ表地も素敵なオーダーコートのご紹介
“裏勝り”
とは、日本の江戸時代から続いている考え方。当時、江戸幕府が発令した着るものも質素で簡素なものにしなさいという贅沢禁止令というものがありました。
守らなければ罰せられるのでそれに民衆は従うのですが、それがどうにもつまらないと考える洒落者たち。
じゃあ、見えるところだけ質素にして、見えないところは好きな生地を使っていたそうです。
粋ですよね。
現代のビジネススーツにおいても、裏勝りな考えをされる方が多く、表地はネイビーやチャコールグレーなどシンプルに、裏地は好みの色柄を選ばれています。
本日、ご紹介するのも裏地は好きな色柄をということで、英国製のフラワープリントの裏地をお選びいただきお仕立てさせていただきました。
お客様のオーダーコートの仕上がり
どうでしょう?この柄。かなりパンチが効いているデザインです。
いつもご利用いただいているJ様の部下にあたる方のコートなのですが、J様がこの裏地を使ったスーツを着られていて憧れがあったようです。
同じ柄を使い、コートをお仕立てしました。
英国最大の生地グループLBDの裏地で、英国製ならではのしなやかな質感を持っています。本場英国サヴィルロウ地域のテーラーであれば、必ずといっていいほど使用されている伝統的な裏地バンチです。
比較的自由のある会社ならではのチョイスで、大変素敵です。
裏勝りなオーダーコートとも言えますが、このコートは表地も素敵なのです。
他にないイタリア生地を作り続けている、ビエレッシのヘリンボーンストライプは良く見ると幅が広くユニークです。裏地に負けず劣らずな表地のコートなのではないでしょうか。
水牛の角から削り出したベージュボタンは、一つひとつ節の出方が違い、デザインとしてのポイントが効いています。
この時期 (2月末) の仕上がりというのはもちろんお客様ご了承済み。
少し着用したらすぐにクローゼットに行くことになりますが、長いスパンで着ていくことを考えているので大丈夫ですとのことでした。
大変良い仕上がりなので、長くご愛用いただけますと幸いです。
この度はご利用いただきありがとうございました。
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