お客様の写真 - 【T様冬の装い】英国フランネルスーツとキャバリーツイルのバルカラーコート

2025.12.12【T様冬の装い】英国フランネルスーツとキャバリーツイルのバルカラーコート

気温がぐっと下がり、コートが手放せない季節となりました。当ブログをお読みいただいている方であれば、厚手の洋服のほうがニュアンスのあるものが多く、お好きな方が多いのではないでしょうか(私だけですか？笑)。

本日ご紹介するT様は、日頃よりご贔屓いただいているお客様で、これまでにもさまざまな装いをお仕立てさせていただきました。今回は冬の装いでございまして、T様らしい、軸のぶれない選択が印象的でした。

英国フランネルの三つ揃いスーツ

主役は、英国のフランネル。目付450gと、近年流行りの軽ろやかな風合いのものではなく、しっかりとした厚みやハリコシのあるフランネルです。仕上がった際の流れるような立体感や、どっしりとした雰囲気はこの生地ならでは。

当店では、結果的にこのくらいの目付、あるいはそれ以上の生地を選ばれる方が多くいらっしゃいます (梳毛の生地なら300～400gが多いです) 。店主の好みが反映されている部分も大いにあるのだと思いますが、扱いのしやすさや仕立て映えなどをじっくりお話していくと自然とこうした素材に落ち着くことが多いです。もちろん薄い生地がダメというのでなく、あくまでも着用される方の趣向、シーンに合わせてご提案しています。

色味は少し杢の入ったネイビー。近くで見ると奥行きがあり、光の当たり方や距離によって表情が変わります。派手さはありませんが、着る人の動きや佇まいによって静かに存在感を放つ色合いです。

三つ揃いのスーツを選ばれるのもクラシカルな雰囲気を好まれるT様らしい拘りです。少しスポーティさのでるフランネル素材であればジャケットとトラウザーズだけでも十分に存在感を放つ装いとなりますが、ベストが加わることでぐっと装いが引き締まります。

ちなみに、シャツも当店でお仕立ていただいた生成りのフランネルで、起毛している素材が調和しコーディネイトに抜かりがありません。

バルカラーコート

そしてこのスーツに合わせて冬のコートとしてバルカラーコートもお仕立てしました。生地は英国製の目付600gのキャバリーツイル。ミディアムからライト寄りのグレーでカラー、ネイビーのフランネルと合わせたときの相性も良好です。

キャバリーツイルはその名の通り、もともと騎兵隊のトラウザーズに使われていた素材で、高い耐久性と実用性を前提に生まれた生地です。実際に戦うためには目付1200gくらいが使われていたといわれていますが、現代では600gでも分厚いほうです。

経糸が通常よりも多く、綾目が角度が通常の45度でなく66度と傾いています。スポーティさも生まれ、バルカラーのデザインとも良く合います。起毛感はほとんどないため、冬の初めから着用しやすく長い季節で楽しめるコートに仕上がりました。

いかがでしたでしょうか。フランネルの三つ揃いスーツとキャバリーツイルのコート。実用性と美しさを両立させようとする、英国生地らしさが、全体を通して感じてくるかと思います。

T様からは、『寒さも厳しくなってきましたが、冬の装いが楽しみです。』と今回もお喜びの声をいただけました。

T様、この度もありがとうございました。特に目付の重い生地は仕上がった段階ではやや固さの残る、所謂緊張しているような状態です。そこから馴染みがより良くなるのも楽しんでいただけましたら幸いです。