タリア・デルフィノの新たな可能性。蜜蝋 (みつろう) を使ったスーツ生地『ハニー ウェイ フィニッシュ』

現在、多くの業界で重要視されている、SDGs (エスディージーズ) 。
持続可能な開発目標として、少しでも環境に配慮した物づくりをしていくため有名生地ブランドを中心に、服飾業界でも様々な取組みが進んでいます。
TALLIA DI DELFINO (タリア・ディ・デルフィノ)の取組み
イタリアの実力派生地ブランド、TALLIA DI DELFINO (タリア・ディ・デルフィノ)の取組みは、仕上げ段階で蜂蜜 (みつろう) を使用するというユニークなものです。
生地の生産は大きく分けて、①原毛から糸を作り、②経糸横糸に分けて織りあげ、③仕上げをおこない、完成します。
仕上げの工程には、経糸横糸を整理させ生地幅を安定させる基本的なものから、起毛をさせるフランネル、シルクのような表面にする仕上げ方法など多岐にわたります。
HONY WAY FINISH (ハニーウェイフィニッシュ)
基本的な仕上げ方法は薬品を使用しておこないますが、タリアデルフィノは蜂の蜜蝋を代替した、“ハニーウェイフィニッシュ”を生みだしました。
従来の仕上げ方法よりも使用する水の量が半分ですみ、環境への配慮を深めていっています。
蜜蝋での仕上げのため風合いが限られてしまう事もあり、全ての生地にハニーウェイフィニッシュを採用する事は見送られていますが、今後改良が進みバリエーションが増えることを願っています。
今回、デルフィノからは“CLUB HOUSE (クラブハウス) ”、“HERITAGE (ヘリテージ) ”、“AIRLY FLANNEL (エアリーフランネル) ”の3つのシリーズにハニーウェイフィニッシュが採用されています。
クラシカルで格好良い生地でありつつ、環境にも配慮されていて、これからの秋冬にかけて活躍する生地になります。
服飾である以上、格好良い事は大前提です。
現状、少ない環境配慮素材
こういった環境配慮を目指した生地というのは、流通が非常に少ないのが日本国内の現状。いくつかの生地卸業者には、そんな問い合わせするのは鳥形さんのところくらいですと言われるくらいにあまり重要視されていません。
流通が少ない理由は簡単。コストが余分にかかるからです。
一般的な素材よりも再生素材の方が同品質であれば手間がかかる分、値段が高くなるのと同じ理屈で、環境配慮にはコストがかかります。
それを踏まえて環境面よりも安さを求める事も一つの選択です。
私自身なるべく環境面を意識した行動をとっているつもりでも、全ての選択で出来ているとは言えません。
とはいえ、少しでも環境に配慮された方が、また配慮する人が増えた方が良いと考えておりますので、今後も当店はSDGSな取組みを続けていきます。
SDGsに関するブログが他にもありますので、是非ご覧ください。
【SDGs】姫路のスーツ屋の取組み。プラスチックハンガーを使用しない件。
『Pela Case (ペラケース) 』カナダ発のサスティナブルなアイフォンケース (※私物紹介)
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