2024年春夏生地の仕入れ② 角度の付け方の妙です。
先日より始まった春夏生地展示会へ行ってまいりました。
気温の違う半年先の洋服の事を考えるのは、業界に15年程度関わっておりますのでもう慣れっこな店主の鳥形です。当店の扱う生地は基本のキから大きく離れないクラシカルなものが多いため、流行を追うというよりは各生地メーカーによってクラシックの解釈や角度の付け方を変えているものがほとんどです。なので、展示会に行くたびに新しい視点の発見がありワクワクします。
それでは早速写真をご紹介しながらレポしてまいります。
春夏らしいフレスコ生地は強撚糸によりシャリシャリとした質感で、スーツだけでなくオッドジャケットやオッドトラウザーズとして快適に着用頂けます。艶感のある3シーズン生地もよろしいかと思いますが、春夏に着用されるのであれば季節感あるマットな質感が洒落ております。
続いてフランスのDから始まるあのメーカーより、創業以来初となるソラーロ生地が登場しました。ソラーロといえば17世紀の東インド会社時代まで遡り、強い日差しでも色褪せが目立たないスーツ地として誕生したものです。デニムと同じ織り方で、1/4だけ緯糸に使われた色糸が表から見える事でタマムシのように角度によって色を変えます。
そのソラーロをパタゴニアウールで織られたトニックによって表現されておりまして間違いのないものです。ソラーロらしい赤レンガ色の生地を3.3m (鳥形サイズ) を発注済みです笑 。ちなみにオリジナルソラーロと呼ばれるスミスウールンズのシリーズも今季リニューアルされるため、ソラーロ豊作のシーズンとなりそうです。
リネン、ウール、モヘアと聞くだけで清涼感のある組み合わせのこの生地はストレッチ性を兼ね備えております。ストレッチ素材は通常ポリウレタンやエラステンといったストレッチ繊維を混ぜるのが最も簡単なやり方ですが、そういった繊維は劣化の原因になりやすいため長年着用いただく洋服には不向きです。ストレッチジーンズの膝が出てしまうアレです。
ストレッチ繊維無しでも、繊維の中で最もしなやかさのないリネンがここまで伸びるのには驚かされます。さわやかなブルーの色味でセットアップにいかがでしょうか。
色とりどりのジャケット生地も各メーカー豊富にあります。1着目としてのジャケパンスタイルで選ぶのであればブルーベースのものが扱いやすいですし、フレンチトラッドを感じさせる鮮やかな色味を選ばれても洒落ております。
春夏の季節感を出すうえで欠かせないリネン。選ぶポイントとして、薄手のリネンよりもる程度の目付 (300g程度) のものがお勧めです。薄手のリネンは涼しくて良いのですが、細かなシワが付きやすく組下の耐久性としても不安であるため、少し厚いかな?くらいのリネンのものがジャケットやスーツに適していると考えております。オレンジのリネントラウザーズ等粋でございます。
鳥形が今回一番気になったのがこの生地。コットンにカシミヤを5% (だったと思います) 混織させています。常々カシミヤが1~5%程度入っても質感はそこまで変わらず、気持ちの問題と考えておりますが、このコットンカシミヤのとろみは考えられないクオリティです。とても触り心地が良く、他にない質感でしたので、こちらも3.3m () 発注しておきました。
生地を見ているだけで妄想が膨らみます。他にも気になる生地が多数ございましたが、入荷してからのお楽しみという事でご期待ください。
また、先日ご紹介したSCABALのCLASSICS。実物をご覧頂き良さを少しでもお伝えできればと思い、4クオリティ厳選して仕入れております。
姫路市で拘りの洋服をお探しの方は是非一度お問い合わせ頂けますと幸いです。
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