【鳥形の私物】SCABAL CAPRIシリーズのライトブルーのオーダースーツ
久しぶりの私物紹介。本日も姫路の最高気温も26度で週末は雨のため、少し気温が落ちるようですが来週は30度に迫る気温になりそうですね。
洋服屋として、季節ごとに装いを変えていきたい派閥に所属している店主の鳥形でございますので、夏には夏の洋服を着用と心がけております。何を変えていくのかと申しますと、季節感のあるリネンやモヘアの入った生地や、織り方をシアサッカー (しじら織り)、平織りの強撚糸にするというものです。
本日の私物で最近お仕立てしたのも、平織り目付260gの生地で、ベルギーのSCABAL (スキャバル) がCOOL WOOLというキャッチフレーズをもとに織られたCAPRIというシリーズを使用しています。このシリーズのユニークなところは単一クオリティで後染めを行っている点です。
生地には糸の段階で染める先染めと、生地になってから染める後染めがあります。先染めは深みのある色合いが出せる事に強みがあり、後染めは深みの無いクリアな色合いを出す事ができます。一般的に業界では後染めより、先染めの方が深みがあり評価されやすい傾向があると思いますが、そこは流石スキャバル。このCAPRIでは先染めでは出す事の出来ない蛍光色や、ニュアンスカラーを生み出しています。
秋冬の重いイメージで作る洋服には適さない生地ですが、春夏の軽やかでスポーティな洋服にとても良い塩梅でフィットしてきます。
ちなみに、妻用に蛍光色の黄緑色でパンツを仕立てたところ、工房で合う縫い糸が無かったらしく、新たに買い足して頂くというお手間をおかけしました。それくらいにあまり見る事が無い色味という事ですね (笑) 。
店主は奇抜過ぎない浅いライトブルーの生地でスーツを仕立てました。
届いたその日に着替えましたので靴の色が合っておりませんが、綺麗な色合いのスーツで素敵な仕上がりになったのではないかと自画自賛しております (笑) 。
スポーティに着用したかったため、ワイドシルエットのシルエットにしております。平織りの生地はしなやかさが少なくなるため、本来縫いにくいものなのですがこの生地は軽く横伸びし、綺麗なシルエットを構築することができています。
フロントダーツが裾まで伸びるナポリモデルにした場合は、ステッチをダブルのフルステッチにするのが全体の雰囲気が良くなりますのでお勧めです。
スポーティな印象のシリーズなのでオッドジャケット・オッドトラウザーズにしても良いSCABALのCAPRIシリーズのスーツをご紹介しました。是非洋服づくりのご参考にして頂けますと幸いです。
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