【私物】CANONICO (カノニコ) のカバートクロスでオーダートラウザーズ作成しました。
“ジャストサイズの洋服”って何だろう?と考えた時、それは人によってイメージするものが変わってきます。
身体のラインを出したタイトな洋服がジャストで格好良いと考える方、過去流行したアルマーニの作る大きなゆとりを出した洋服が丁度よいと考える方等々。人それぞれの部分を私たちオーダーでお受けする洋服屋は、お客様とのヒアリングで探っていくわけですが、全てお客様が指定する通りに作れば良いというわけではありません。
イメージされ目指すものがお客様の身体に合わない場合もありますし、もっとお客様の身体を格好良く見せるサイズがある場合もあります。
EGRETではお客様の趣向、ご要望をもとにサイズを作り上げていきますが、EGRETとして目指すスタイルというものもあります。タイトになり過ぎず、着用していて疲れない、美しい流れるようなシルエット。ゆとりを取るけれどもスタイルが良く見えることが理想的です。ゆとりを十分に取ると一歩間違えると“大きい服”になってしまうため、数値としての採寸以上に、身体のクセを読んで型紙に反映させることに拘りを持っています。
今回、自分用に作ったトラウザーズのご紹介のブログです。フルハンドで仕上げるラインでなく、MTMで作成しております。MTMのトラウザーズ、パンツのシルエットとして非常に綺麗に仕上がっておりますので、EGRETが目指すサイズがどういったものか知っていただく機会となれば嬉しいです。
カノニコのカバートクロスを使ったオーダートラウザーズ
カノニコの正式名称は、VITALE BARMERIS CANONICO (ヴィターレ バルベリス カノニコ) 。海外ではVBCという略され方が多いそうですが、日本ではカノニコが一般的です。イタリア最大の生産量を誇るだけあり、日本でもメンズ・レディース問わずよく使われる生地メーカーでして、よく見るブランドだけに過小評価されているきらいがありますが、とても良いブランドです。英国的なグローバルなモノづくりにも対応しており、柔らかく光沢のあるTHE イタリア生地一辺倒でなく、太い糸を使用しハリコシのある生地作りも得意としています。
このパンツに使用しているカバートクロスも21μという太い糸を使用し、シワになりにくいハリとコシがあります。カバートクロスは、キャバリーツイルやホイップコードの仲間でカントリー色が出やすい素材ですが、カノニコが作るそれはタウンユースしやすい光沢と質感を持ちます。
このパンツのように、ウエストベルトからタックが落ち、裾に向かってストンと落ちるシルエットが格好良いです。このシルエットを作るためには、ウエストからヒップにかけての身体のクセに合わせて作る必要があります。
最近作る自分用のパンツはだいたいこのデザインです。持ち出しの長いベルトに、2タックはアウトプリーツ。ベルトループ無しで脇尾錠を付けています。
いかがでしたでしょうか。ジャケットはドラッパーズのゴールデンセレクションのチェック生地を使用したものです。
スーツ一辺倒でなく、ニットを合わせたジャケパンスタイルもEGRETの得意なところです。拘った洋服を兵庫県姫路市でお考えの方は、是非一度お問い合わせいただけますと幸いです。
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