ウール×リネンスーツ “VITALE BARBERIS CANONICO (ヴィターレ バルべリス カノニコ) ”
スーツに最も適した素材はウールです。しなやかさとアイロンの効き具合の良さは美しいカーブを描いたスーツのシルエットを作るうえでかかせないものですし、スケールという髪の毛でいうキューティクルがウールにはあり、防汚効果や調湿作用、静電気の発生を抑えるというスーツにするうえでの機能性も高い素材です。
ウールが基本であることを抑えつつ、イメージする洋服に合わせて様々な季節感ある素材を選ぶことで、クラシックで長くご愛用いただける洋服でなりつつ、装いの楽しさも感じていただけるものになるのではないかと思っています。
本日ご紹介する私物スーツにはウールにリネン (麻) をブレンドした良い塩梅の洋服になっておりますので、是非最後までご覧ください。
VITALE BARBERIS CANONICO (ヴィターレ バルべリス カノニコ) のウールリネン
使用しているのは私の大好きな生地ブランドであるカノニコのウールリネン。
カノニコはイタリアのミル (織元) であり、英国寄りのものづくりの姿勢と高い織りの技術を持っていることから、有名マーチャント (商社) の服地を織っていることでも知られています。日本ではゼニアに次いで有名なブランドでイタリアで最も生産量が多く流通量も多いことから過小評価されている部分もありますが、高い仕立て技術と組み合わせることで素晴らしい洋服を作ることができる素晴らしいブランドです。
このウールリネンも、ウールのしなやかさとリネンの夏らしい風合いを併せ持つユニークで高いクオリティの生地です。
ベースのデザインは、ナポリモデルを採用。ナポリモデルの特徴はフロントダーツがポケットを突き抜けて裾まで到達しているところです。ポケットから裾に向かって特にダーツ分量を入れているわけではありませんが、カジュアルな雰囲気の仕立てに見せることができます。
リネンだけではこれだけの柔らかく美しいカーブを描いたシルエット作りは難しいですし、ウールだけではこれだけの清涼感のある質感を出すことはできません。
パンツのシルエットもヒップから裾にかけてストンと落ちた綺麗なシルエットを構築できています。少し太った影響で前股上が下に落ちて膝当たりにシワが出来てしまったので痩せようと思います (笑) 。
スーツ全体に施したダブルステッチに手縫いのボタンホール、パンツは2タックのベルトレススタイルとディティールにもとことん拘った夏スーツです。
この時期に作ったからには、8月いっぱいまでめい一杯着用しようと考えております。他にも秋冬に向けて個人的に仕立てたものが全て仕上がってきましたので、どしどしご紹介してまいります。お楽しみになさっていただけると幸いです。
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